2014 Fiscal Year Annual Research Report
人的資本投資の決定において、摩擦のある労働市場が果たす役割
Project/Area Number |
24730213
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
俵 典和 国際教養大学, 公私立大学の部局等, 助教 (10517618)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 人的資本 / 労働市場 / サーチ / 課税 / 教育投資 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度においては、査読雑誌への投稿のため、論文の執筆作業を行った。 まず、データセットの修正を行った。前年度においては、米国の州ごとの、失業率、一人当たり所得、教育指標のデータセットを使用した。最終年度では、多くの関連文献で利用されているように、同様の指標に関するクロス・カントリーの年次データを作成・整理し、本研究の説明対象を明確にした。 次に、前年度において、幾分パッチワーク的にまとめられた理論、数値分析の結果の集合を、再度整理し直し、議論の流れを、改良した。 まず、労働者の生産性が、大学進学率および教育年数により測られた教育指標に与える影響が、失業のある設定と、ない設定で、どのように変わるか分析した。ここでの重要な結果は、失業をモデルに導入すると、生産性差異が、教育指標の違いを説明できる大きさが、増える、ということである。最近、生産性が教育投資に与える大きさについては、Diego Restucciaらによる一連の研究があるが、生産性が教育投資に与える影響は大きいことを示唆する、新たな理由、メカニズムを提供している点は、本研究の最大の貢献である。 しかし、関連分野の研究者の助言によれば、これだけでは、投稿可能にする論文としては不十分であり、または、査読者・編集者に関心を持ってもらえない危険があり、上記の新たなメカニズムが、なぜ重要なのか、なぜ知的に面白いのか、特に政策問題を考えるうえでどのように有用なのか、を説得しなければいけない。多くの文献を丁寧に調査するとともに、関連分野の研究者に、アイデアを説明し、意見を伺った。結果、以下のような形として、まとめた。 上記メカニズムの応用の一つとして、授業料は各家計により私的にファイナンスされる場合と、労働所得への比例課税によりファイナンスされる場合とで、定常均衡を数値的に計算し、教育指標が、どちらのケースの下で大きいか、計算した。
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