2013 Fiscal Year Research-status Report
都市圏の脆弱性を考慮した社会資本整備の経済的評価手法に関する実証的研究
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24730215
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
朝日 ちさと 首都大学東京, 社会(科)学研究科, 准教授 (90457812)
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Keywords | 都市経済学 / 脆弱性 / 社会資本整備 / 都市雇用圏 / リスクマネジメント / 水道 |
Research Abstract |
本研究は、都市圏の社会経済活動における不確実性(災害、エネルギー・水資源の非都市圏への依存、財政基盤の変化等)に由来する都市の脆弱性に着目し、その対策としての経済主体の安全と安心を確保する社会資本整備の効率的な水準を明らかにするために、不確 実性を明示的に採りいれた社会資本整備の経済的評価手法を提示することを目的とする。今年度は、1.脆弱性の測度による厚生評価理論の検討、2.都市雇用圏データ作成,3.都市雇用圏GIS表示、4.Web調査準備、を実施した。 1.脆弱性の測度による厚生評価理論の検討:実証分析に先立ち、前年度の脆弱性概念の検討に基づき、脆弱性を不確実性下の選択モデルとして表現するために、主にプロスペクト理論の文献資料により理論的な整理とモデルの提示を行った.結果については次の2点の学会発表と論文にまとめた「不確実性下の選択を考慮した脆弱性改善の便益評価に関する考察」日本地域学会第50回年次大会,2013年10月「社会資本整備による脆弱性改善の便益評価に関する考察」都市政策研究,第8号,pp.49-78,2014年3月。 2.都市雇用圏データ作成:昨年度に引き続き次のデータ作成を行った.①都市雇用圏:MEA):2000年、2005年について、各項目の市町村データおよびそれらを用いた按分によりデータを作成。②社会資本:唐木他(2006)で用いた分類と項目に基づき、内閣府政策統括官「日本の社会資本2007のデータをもとに都市雇用圏ごとに作成。 3.都市雇用圏GIS表示:分析結果および時系列変化の空間的な可視化のため、都市雇用圏のGIS表示(2000年・2005年)のための作業を行った。 4.次年度実施のWeb調査準備:評価モデルの実証データとして、インフラの老朽化を想定してリスク選好・リスク認知・選択・支払意思額の回答を得るインターネット調査の予備調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度遅延していた作成データを用いた要因発見的分析に着手し、まだ分析は完了していないが、分析した結果について順次GIS表示まで行う準備が整った。さらに評価モデルの設定とweb調査によるリスク認識データの取得の予備調査(学生アンケート)まで、年度計画としては順調に推進された。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、都市雇用圏の社会経済指標および社会資本整備のデータの関係を検証する。また、今年度に予備調査を実施したインフラに関するリスク選好・リスク認知・リスク選択に関するweb調査の本調査を実施する。それらの結果に基づきモデルを改善し、評価モデルとして提示する。 学会参加,投稿関連経費,旅費等の使用予定については,当初使用計画の通りである.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
昨年度の使用計画が、データ入力作業の見込み増大で遅延したことに伴い、研究計画全体が後ろ倒しになっていることによる。今年度の計画は順調に推移したが、今年度後半に予定していたweb調査の発注が、昨年度由来の理由により次年度前半にずれこんでいることが主な理由である。web調査は予備調査まで終了しているため、今年度前半に実施できる見込みである。 次年度使用額は、主に当初予定通り当該年度実施予定であったweb調査に使用し、モデルの実証データを得る予定である。 次年度請求助成金は、当初予定通り、実証分析および結果発表のための経費および物品に使用する予定である。
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Research Products
(7 results)