2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730220
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
北村 紘 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (30582415)
|
Keywords | 排他条件付取引 |
Research Abstract |
排他条件付取引は、上流部門もしくは下流部門の企業が垂直取引において他の競合他社と取引を行わないよう、契約を行うことを指す。排他条件付取引が反競争的な目的で実現するためには、川上企業および川下企業の双方にとって契約に参加することが望ましい状況が実現している必要がある。しかし、川上川下双方の参加条件を考慮に入れると反競争的な排他条件付取引は、特定の市場環境のみでしか実現しないということがこれまでの理論分析で明らかになっている。本研究では、反競争的な排他条件付取引が実現する市場環境を理論分析・実験分析を通じて整理することを目的とする。このうち、実験分析については実験のデータがそろっていないため、公表できる段階にはない。 一方、理論分析では、複数の成果が得られた。特に成果があったと思われる研究は、Kitamura, Matsushima, and Sato (2013)である。この研究では、川下市場における参入阻止に注目し、川上企業が供給する財の変形技術について川下企業間で効率性に差がある状況を分析している。分析の結果、川上企業の供給する財について参入企業が効率的である場合、反競争的な排他条件付取引が実現することが明らかになった。追加分析の結果は、一般の需要関数の下でも成立することが明らかになり、結果の頑健性が確認されてた。この研究は国内外の学会・研究会で報告され、現在国際査読誌へ投稿中である。 今後大きな成果が期待できる研究は、Kitamura, Matsushima, and Sato (2014)である。この研究では、補完材供給企業の存在に注目し、川上市場における参入阻止を理論的に分析している。分析の結果、補完材供給企業が価格支配力を持つ場合、反競争的な排他条件付取引が実現することがわかった。現在のこの結果の頑健性について様々な角度から分析を行っている。2014年度はこの研究を国内外の学会・研究会で報告し、国際雑誌へ投稿したいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究の進捗状況はおおむね順調であると考える。その理由は以下の通りである。 まず、理論研究であるが、参入企業の技術効率性に注目しながら排他条件付取引による上流市場の囲い込みを分析した研究を国内外の学会で報告することができた。この論文は、現在国際査読誌に投稿中である。さらに、垂直取引制限の一つである占有率リベートの研究が国際査読誌に掲載された。年度末には、補完材供給企業の役割に注目した研究を国内の研究会で報告することができた。この研究は最終年度には国内外の学会で報告し、国際査読誌に投稿できる状態にあると思われる。また新しいプロジェクトも複数立ち上げることができており、順調に研究が進んでいる。 次に、実験研究であるが、ほぼ計画に沿った形で行うことができた。今年度の研究計画段階では5回の経済実験を実施する予定であったが、4回の実験を行った。1回分の実験は被験者が集まらなかったため中止とした。同じタイプの実験を繰り返しているため、新規の被験者の獲得に向けて工夫をする必要があることがわかった。来年度は、募集業務用のアルバイトを雇用し、被験者の募集を円滑に進められるようにしたいと考えている。よって、来年度の実験の実施は予定通り行うことが可能であると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度は最終年度となるため、経済実験の実施計画を早い段階から立てる予定である。今年度は被験者の募集で苦戦したため、募集専用のアルバイトを雇用し、被験者の確保を実現したいと考えている。
|
Research Products
(9 results)