2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730220
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
北村 紘 京都産業大学, 経済学部, 准教授 (30582415)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 排他条件付取引 / 垂直的取引制限 / 競争政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
排他条件付取引とは,競合他社との取引をしないことを条件として垂直的取引を行うことをいう.排他条件付取引が反競争的な目的で行われるためには,契約パーティ内のすべての企業の参加制約が満たされる必要がある.本研究は,反競争的な排他条件付取引契約が実現する状況を理論分析・実験分析を通じて明らかにすることを目的としている. まず理論分析では,補完財供給企業の存在に注目したKitamura, Matsushima, and Sato (2015)を発表した.この研究では,価格支配力を持つ補完財供給企業が存在する場合は,参入による川下企業の利潤増加が鈍化するため,シカゴ学派の想定した川下企業が独占である状況においても反競争的な排他条件付取引が実現するということを理論的に示した.そして,非線形需要や非線形料金の状況においても成り立つことを示した. 次に実験分析では,参入企業が既存企業であるかどうかにより,排他条件付取引の契約内容および参入阻止率がどのような影響を受けるかに注目した分析を行った.既存研究では,排他条件付取引契約が提示される前に,参入企業が卸売価格の提示は出来ないという設定で分析していた.しかし,参入企業が別の国や地域で活動する企業である場合には,事前に卸売価格の提示が出来る可能性がある.たとえば,MDSノーディオン事件において排除された企業は,事前に取引交渉を行っていた.現在研究のとりまとめ中であり,暫定的な結果ではあるが,契約内容および参入阻止の可能性は,参入企業の卸売価格情報が観察可能かどうかに大きく依存し,理論研究において,確実に参入阻止ができると指摘されていたdivide-conquer offerは,参入企業の卸売価格情報が観察不可能な状況においては,うまく機能しないということが明らかになった.
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Research Products
(9 results)