2013 Fiscal Year Research-status Report
医薬品産業におけるM&Aが企業パフォーマンスに及ぼす影響の実証研究
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24730228
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
宮崎 浩伸 南山大学, 経済学部, 准教授 (70433521)
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Keywords | M&A / 医薬品産業 / 企業パフォ-マンス |
Research Abstract |
研究実施計画にあるように、平成25年度は、主に計量分析を行うことであった。具体的には、PSM(Propensity Score Matching)法の適用や、株価分析におけるBHAR(Buy-and-Hold abnormal Return)の計測、さらに、Fama-Frenchの3ファクター・モデルの利用であった。いずれも、はじめて利用する手法ということもあり、実際のデータ分析でテクニカル面において習熟するのに時間を要した。その他、代替的な手法も併せていくつか検討した。なお、実証分析には予想以上に時間がかかったが、わが国の医薬品産業におけるM&Aが、その後の企業パフォーマンスに与える影響について、明らかにできた。さらに、得られたインプリケーションは、今後のわが国のM&Aに関する法律面での整備を進めていくうえで、また、医薬品産業政策を考えていくうえでも、数量分析に裏付けられた基礎資料となる社会的、政策的意義を持っていることも確認できた。主な分析結果は以下の通りである。 1、R&D投資集約度には有意な影響はみられないが、R&D投資額には、5年後にプラスで有意な結果が得られた。この結果から、長期的には、R&D投資を増加させることが明らかになり、M&Aとの相乗効果が働いていることが示唆される。 2、売上高営業利益率、売上高経常利益率共に5年後にはマイナスで有意な結果が得られた。この結果から、長期的には、M&Aによる財務パフォ-マンスの悪化がみられることが明らかになった。 3、株価分析については、分析手法により、異なった結果が得られた。つまり、分析結果の頑健性に問題があり、この点は今後の課題としたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、当初の計画以上に進展していたが、平成25年度は、予想以上に実証分析に時間を要した。具体的には、株価分析については、いくつかの代替的手法を試み、比較検討したことであるが、これにより、様々な手法に習熟することとなり、この点では、今後の研究活動に大きなプラスになると思われる。しかしながら、当初の研究計画より遅れた状況ではなく、計画通りといえる。以上の結果から、現段階での達成度は、「おおむね順調に進展している」と評価している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度から作成しているデータベースについても、2004年度以降も更新しているが、まだ途中段階であり、分析期間を拡張した分析は今後の課題である。このように、サンプルデータを増やすことで、分析結果の頑健性の問題が解消される可能性もあろう。 今後は、早急に英語で論文を作成していきたい。英文の校正作業は、これを専門とする業者に依頼する予定である。その他、分析を進めていく上で、適宜、機会を見つけ、研究会やワークショップでも報告を行い、他の研究者からのコメントを参考にして、論文の修正を行っていく予定である。特に、本研究のテーマは、ホットなイシューであるため、例えば、letter関係の論文やショートペーパーにまとめ、研究成果について、可能な限り、早めに公表していく予定である。
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