2014 Fiscal Year Research-status Report
経済実験による目標管理制度の設計と評価-業務内容・目標設定・労働者の特性を中心に
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24730230
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
小川 一仁 関西大学, 社会学部, 准教授 (50405487)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 経済実験 / 目標設定 / ジレンマ / real effort |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の研究実績概要は以下の通りである。 (1):マルチタスクと近しい関係にある多市場接触に関する実験研究(平成25年度投稿済み)の改訂と再提出。 本研究費では組織内のジレンマ状況を検討しているが、最初に最も基礎的な囚人のジレンマとそのバリエーションである、多市場接触について検討した。成果をMetroeconomica誌に投稿し、査読者との数度のやりとりを経た状況である。2015年1月末に届いた審査報告では、1名がaccept、もう1名がまだacceptを出しにくい状況で、第3審査委員が加わって再改訂と再審査を要請されている状況である。
(2):目標を導入した実験の実施 本研究は目標管理の導入と労働成果の関係について問うている。そこで、シングルタスクに限定し、目標管理を導入した実験を実施した。2014年の10月に75名を集めて、目標が存在しない場合の作業成果、自分で目標を決める場合の作業成果、他者から目標が与えられる場合の作業成果の3通りを比較する実験を行った。それぞれの条件で概ね25名ずつが参加し、作業内容は計算問題を制限時間内に解く、というものだった。このような実際に作業してもらうタイプの実験をreal effort実験と呼ぶ。実験結果は、目標を自分で決める場合が最も作業の成果が高かった。これは森らの先行研究と(作業内容は異なるものの)同じ結果である。現在本研究は学部生によるデータ整理を経て、追加データの収集(各条件あと15名ずつ)と論文執筆の準備に取りかかっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本来の最終年度であるにもかかわらず、マルチタスクと目標を組み合わせた経済実験の実施に到達できなかった。本学の経済実験センター実験室設置に代表として関わっていたことなど、種々の事情はあるが、事前の予定通り進まなかった点について非常に悔やまれる。
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Strategy for Future Research Activity |
上述したreal effortに関する追加実験を実施し、シングルタスクと目標の関係についてある程度の結論を得る。これは前期の間に実施する。本学の経済実験センターが抱える学生参加者リストは1200名程度なので、割合容易に実施できると考えている。
後期にはマルチタスクと目標を組みあわせた実験を実施し、研究課題を最後まで遂行させる。
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Causes of Carryover |
2014年度に採択された私立大学戦略基盤形成支援事業の代表として経済実験センターの設置と運営に関わったために、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
経済実験の実施と、成果の報告のための出張旅費に多くを費やしたい。
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