2013 Fiscal Year Research-status Report
外資企業が地場企業の生産性に与える効果：カンボジアの事例
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24730232
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| Research Institution | Institute of Developing Economies, Japan External Trade Organization |
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Principal Investigator |
田中 清泰 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, その他部局等, 研究員 (30581368)
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| Keywords | カンボジア / 外資企業 / 縫製産業 / 観光産業 |
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| Research Abstract |
平成25年度はカンボジアにおける企業調査の実施を目的とした準備を進めた。外資企業が地場企業に与える影響を検証するため、外資企業がある程度存在する産業を特定すること、および外資企業が進出している地域を特定する必要がある。このためカンボジア2011年度経済センサスの個票データを整理して、地場・外資企業の設立動向を地域別に分析した。
調査準備の過程において、外資企業の進出地域は道路や電力などの経済インフラなどに依存することが分かった。外資企業がカンボジアに進出する動機を理解して企業調査に生かすため、道路インフラ関連のODAが外資企業や地場企業に与える効果を分析した。その結果、ODAは外資企業や地場企業の立地を促進する効果があるが、その経済的な効果の大きさは電力など他のインフラに比べて小さいことが分かった。この実証結果は査読付き英文ジャーナルで報告した。
次に外資企業と地場企業の取引関係を調査する準備のため、外資企業の進出が比較的多い縫製産業と観光産業において企業訪問を実施した。例えばプノンペンの経済特別区に進出している縫製関連の日系企業などを訪問した。また、アンコールワットなどの古代遺跡が多いシェムリアップにおいて外資系ホテルなども訪問した。聞取り調査の結果、カンボジアの地場企業が十分に発展していないことを反映して、地場企業との取引はあまり大きくない、というのが両産業の共通点であった。なお観光産業の調査結果は一般向け雑誌において報告されている。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の研究計画通りに、企業調査の実施に向けた様々な準備を行うことができた。経済センサスデータを使い外資企業の進出傾向などを分析した。企業訪問によって外資企業の現地での取引実態について聞き取り調査を行うことができた。企業調査の準備という観点からは今年度の研究計画は順調に進展した。
しかしながら調査準備の過程で研究計画の遂行にとって様々な問題点が明らかになった。特に、カンボジアに進出している外資企業は地場企業との取引があまり活発ではない点である。そのため取引関係を調査してデータを統計分析しても、外資企業が取引関係を通して地場企業に与える影響は十分に大きくないと予測できた。その結果、当初の研究目的を変更する必要性ができた。
また外資企業の進出が活発な縫製産業を調査することを当初は計画していたが、カンボジア現地で頻発する労働争議などによって縫製工場の調査自体が難しくなってきている。現地の縫製産業組合は企業調査に対してあまり協力的ではなくなってきており、縫製産業の企業調査は断念せざる負えない状況になってしまった。
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| Strategy for Future Research Activity |
調査準備を通して当初の研究計画を修正する必要が出てきたため、今後は外資企業が多く進出している観光産業を中心に研究を進めて行きたい。特に外資ホテルが多く進出しているカンボジアのプノンペン州とシェムリアップ州に焦点を当てる。一方、外資企業が地場企業に与える影響の経路として取引関係の重要性は小さい可能性があるため、競争関係や労働者の移動など他の経路を検証していく。
観光産業を分析する際に、地場企業という対象から地元経済という対象に視点を拡大することが適切である点に聞取り調査を通して気づいた。例えば、外資系ホテルの進出によってカンボジア人の雇用創出効果や、専門的なホテルサービスの習得などの教育効果が生まれていることが分かった。そして外資系ホテルの参入によって新しい外国人観光客の誘致につながり、観光客の増加から観光関連産業への需要創出効果も生まれている可能性がある。
具体的な研究方法として、観光客数などの観光産業に関連した政府統計を購入して分析する方法を検討していく。また、シェムリアップにおいては外資系ホテルが支援する観光専門学校があり、こうした外資によるカンボジア人の観光教育が彼らの雇用や賃金に与える影響も分析できないか検討していく。
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| Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
予定をしていた企業調査は、調査対象の産業における労働争議などによって実施が困難になり、また聞取り調査により当初の調査目的を大幅に修正する必要がでてきたため、次年度に実施予定を変更した。
研究計画を修正してカンボジアの観光産業における外資企業や観光専門学校を調査するために使用する計画である。また、観光関連の政府統計なども分析に必要となるため、データベースの購入などに使用する。
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Research Products
(3 results)
