2013 Fiscal Year Research-status Report
ロシアにおける不平等の規定要因に関するミクロ計量分析:労働市場と社会保障
Project/Area Number |
24730237
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
武田 友加 早稲田大学, 総合研究機構, 招聘研究員 (70376573)
|
Keywords | 農村経済 / インフォーマル就労 / 貧困 / 社会保障 / ミクロ計量 / ロシア |
Research Abstract |
ロシアは,1990年代初めから続いた長く深い移行不況を2000年頃に脱し,安定的な経済成長を享受するようになった。このような持続的な経済成長の中,全国レベルの貧困者比率は2000年代に徐々に減少していった。しかし,その一方で,依然として,不平等度は高い水準で維持されているのが現状である。本研究の目的は,高い水準で維持されるロシアの不平等のメカニズムを実証的に明らかにすることである。 第二年目にあたる平成25年度は,前年度にあたる平成24年度の研究成果を発展させた。つまり,平成25年度の研究では,所得ショックに直面する場合,特に農村家計が個人副業経営というインフォーマルなセーフティネットの機能を強めるが,これはロシアではフォーマルなセーフティネットが機能不全あるいは上手く機能していないからであるという点を明示した。これらの研究成果は,インフォーマルな調整機能もが機能不全になった場合,ロシアにおける地域間格差はさらに拡大する可能性があることを示唆していると考えられる。 また,上記の研究成果を海外に向けて発信することにも努め,ソウル大学主催の国際カンファレンス(Conference on the Pacific Rim Economies: Institutions, Transition and Development)において研究報告を行った。その他,ロシア連邦コロムナ市においてモスクワ州立人文社会大学が主催した国際カンファレンス(Государственная власть и крестьянство в XIX - начале XXI века)に招待された。日程の関係上,渡航はできなかったが,上記国際カンファレンスに先立ち刊行された論文集において研究成果の一部を公表することができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究成果の一部を,国際学会で発表した他,ロシア国内外の研究者たちが執筆する論文集においても発表し,海外に向けて発信することができた。このような点から,本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は,農村の不平等拡大の緩和要因に関して,その研究成果の一部を海外に向けて発信することができた。しかし,都市の不平等を規定する要因についてはまだ研究を深められていない。そこで,今後は,ロシアにおける不平等の全貌を明らかにするために,都市の不平等を規定する要因についても研究を深めることを計画している。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
資料整理のためにファイリング用品を購入する予定だったが,手違いで購入をしなかったため。 翌年度分として繰り越した分を用いて,ファイリング用品を購入する。
|
Research Products
(2 results)