2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730251
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
細谷 圭 東北学院大学, 経済学部, 准教授 (40405890)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 自然災害 / 成長理論 / 収束分析 / 社会的共通資本 / 経済政策 |
Research Abstract |
本研究プロジェクトは,理論分析と数値解析を用いて,大規模自然災害からの復興プロセスの検討を行おうとするものである.当然ながら,東日本大震災を強く意識した研究プロジェクトである.当初,四つのフェーズで研究プランを立てており,そのうち平成24年度は,おもに理論研究を対象とした先行研究のサーベイと理論モデル構築作業の準備を行うことを計画していた. 当初の予定よりも比較的多くの研究論文を収集することができ,20本程度の研究をグループ分けしながらある程度詳細に内容を検討することができた.また,東日本大震災における資本ストックの被災状況に関するいくつかの有益なデータも集めることができた.特に後者のデータについては,収束係数を数値解析する際の貴重なデータとなるため,今後の分析で大いに役立てていきたい. 理論モデルの構築についても,一定の進展が得られた.まず,今後活用が期待できるより一般性の高いモデルとして,公共インフラやlabor-leisure choiceの要素を含む動学的一般均衡モデルの開発に着手し,均衡特性を明らかにするところまで研究を進めることができた.理論的収束係数の導出などは平成25年度の課題となる.加えて,収束分析関連で以前に執筆したHosoya (2003)を本テーマに合わせて拡張し,2種類のモデルの開発を行った.これらについては,理論的収束係数が得られているため,順次数値解析へと移行していく予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度の研究実施計画に記した内容については,かなりの程度研究を進めることができたと考えられる(研究実績の概要を参照のこと).やや不満足な点としては,二点挙げられる.一つは,サーベイ論文の執筆を予定していたが,それが道半ばとなっている点である.時間的に前後してしまうが,今後努力していきたい.もう一つは,実証研究のサーベイが十分に行えなかった点である.平成24年度はおもに理論分析にウェイトを置いていたため致し方ないが,これからの大事な課題として位置づけている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究,とりわけ平成25年度において実施予定の重要な作業は,おもに研究の第三フェーズに取り組んでいくことである.すなわち,これまでに開発された数種類のモデルについて,実証分析の結果をふまえた包括的な数値解析に入っていかなければならない.そして,モデルから計算された収束速度に基づく回復期間の計算から,どのような復興展望を描くことができるかが本研究プロジェクトのハイライトである.これを平成26年度の主要課題として考えているため,その基礎となる数値解析作業をしっかりと行っていきたい.研究結果は,実際の復興の進捗を判断する道しるべにもなり得ることから,できるだけ精緻かつ具体的な分析を目指していきたい.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定通り,研究遂行に必要な物品(主たるものは図書資料)の購入や視察のための旅費に多くの支出を予定している.また,執筆論文の分量によって,相応の論文校閲料も必要となるため(英語論文について),この点を十分に考慮に入れながら全体の支出を考えていきたい.特段の使用説明が必要と思われる支出は考えていない.
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