2013 Fiscal Year Research-status Report
先物金利情報に着目した日本の金融政策の企業別・産業別への影響に関する実証研究
Project/Area Number |
24730255
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
青野 幸平 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (20513146)
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Keywords | 金融政策 / 株式市場 / 家計調査 / 資産価格モデル |
Research Abstract |
Tomorrow Nextと呼ばれるオーバーナイト・コールレートの翌々日物を利用した「金融政策変数」について,直近のサンプルまで延長し,2013年4月に日本銀行によって実施された「異次元量的緩和」政策について,株式市場,債券市場,市場金利への影響に関する分析を行った。「異次元量的緩和」政策を考察する上では,「予想/期待」への効果を考察することが不可欠であり,金利の変化やマネタリーベースの変化ではなく,市場予想と比較をした上での「変化」に着目する必要がある。現時点では,サンプル数が限定的であるため,はっきりとした結論は得られていない。しかし,2014年度のサンプルも含めたサンプルを利用することで,本研究課題が終了するまでには一定の結論を得ることが出来ると考えている。 金融政策変数と同様に,企業レベルの財務諸表のデータ,産業レベルのデータについても直近のサンプルまで利用するデータを延長の上,整理を行ってる。 また,今年度は,企業側への影響だけにとどまらず,消費者側への金融政策の影響についても考察している。つまり,金融政策の効果の1つとして,「消費支出」の動向に着目した研究である。具体的には,家計調査の所得階層別の消費支出データを利用し,金融政策の影響を一番強く金融政策の影響を受けている家計(消費者)がどの階層であるのか,どの階層の消費者のデータが,資産価格理論と整合的な行動をしているのか等を研究している。この研究は,「所得階層別データと株式収益率のクロスセクションによる消費資産価格モデルの検証」としてまとめて,2013年8月に新潟産業大学で開催された「第二回マクロ政策分析研究会」で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Tomorrow Nextを利用した論文については,2013年度以降の効果を踏まえた上で投稿すること画策しており,現時点ではまだ学会発表にとどまっているが,分析自体は9割は終えている。また,関連する研究については,学会報告並びに研究会での報告等は既に終えており,最終年に内容をまとめる作業をする段階にある。その意味で,概ね順調に進捗していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
2013年4月以降可能な限り長期間のデータを含むサンプルを用いた金融政策の影響を考察した上で論文を完成させ,投稿する。 同時に,Caballeo, Hoshi and Kashyap(2006)で提唱されている「ゾンビ企業」を考慮した金融政策の影響について時系列/パネル分析を行い論文にまとめる。 最後に,家計の所得階層別消費データと金融政策の影響について,より深い考察をした上で学会誌への投稿を行う。また,複数の学会での報告を予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年4月に実施された金融緩和政策の影響について,どのような形で論文に取り込むかについて判断に時間が掛かったこと,及び参加予定だった研究会に,日程の都合上,参加できなかったことで当初計画から変更が生じ,結果として次年度使用額が生じている。 2013年4月に実施された金融緩和政策の影響を含めた英語で記述した論文について,英文校閲に関連する費用として10万円を利用する予定である。また,研究に関連した書籍,データにかかわる費用として3万円を使用する計画である。
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