2014 Fiscal Year Annual Research Report
人口減少社会における職種からみた女性の継続就業と再就職に関する実証分析
Project/Area Number |
24730258
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
野崎 華世 一橋大学, 経済研究所, 特別研究員(PD) (40588927)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 経済政策 / 職種 / 女性労働 / 労働経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、 前年度までの研究を踏まえ、出産前後の女性の継続就業と再就職について職種との関係についての分析を行った。分析の焦点は、出産前にどのような職業に就いていた女性が、出産後も継続就業するのか、そして、出産前に仕事を辞めた女性が、再就職する際に、前職の経歴がどのように活かされているかについてである。とりわけ本年度においては、個人の選好を考慮できるよう女性の就業継続に関する意識変数を導入し、前年度までの分析をさらに拡張した。分析の結果得られた知見は、つぎの3点である。第一に、専門職と製造職で就業継続率が高いことが明らかになった。第二に、就業継続率の高い専門職や製造職では、保育所の利用や親との同居など、育児サポートの利用率が高いことが実証的に示された。第三に、第一子出産後の再就職に関しては、出産前の職歴(職業や職業経験年数)と再就職確率に有意な相関がないことが確認された。この点は、女性の職業経歴の中で培ってきた人的資本の蓄積が再就職において活かされていない可能性を示唆している。本研究は、国際学会、国内研究大会にて研究報告を行い、修正後、査読雑誌に投稿中である。 さらに、職業と子ども数に関する分析を行った。熟練労働者になるための教育と子育てにトレードオフの関係が存在するのであれば、低スキル職の労働者より高スキル職の労働者の方が子ども数は少なくなると予想される。このような予想に反して、職業と子ども数に関連はないことが、現時点までの分析で明らかになってきた。この結果の妥当性に関しては慎重な検討を要するといえ、他のデータなどを用いて詳しい検証を引き続き行う。 加えて、分析に利用するデータの分布の歪みを補正するウェイト変数の作成に関する分析を行った(石井加代子氏と共著)。 ウェイト変数は、個票データを用いた分析を行う際に不可欠なものとなってきており、今後の研究にも役立つものと考える。
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