2012 Fiscal Year Research-status Report
バランスシートを内生化したマクロモデルの開発とゼロ金利制約を考慮した金融政策分析
Project/Area Number |
24730264
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西山 慎一 東北大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (70614006)
|
Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | 動学的一般均衡モデル / 金融摩擦 / ゼロ金利制約 |
Research Abstract |
研究課題「バランスシートを内生化したマクロモデルの開発とゼロ金利制約を考慮した金融政策分析」においては、日本経済のマクロ経済学的分析を行うにあたり、二つのプロジェクトがある。①従来の動学的一般均衡モデルに企業と金融部門のバランスシートを取り込むことによって、90年代の金融危機・長期不況(いわゆる『失われた10年』)の要因分析を動学的一般均衡モデルの枠組みで行うこと(以下プロジェクト①)、②ゼロ金利制約の存在を明示的に考慮に入れたもとでの最適な金融政策のあり方を分析すること(以下、プロジェクト②)である。プロジェクト①においては、金融部門ならびに企業部門のバランスシートを内生化したうえで、モデルを理論化し、そのモデルの実証分析を行った。実証分析を行う上では、連携研究者である飯星宏邦氏(首都大学東京)との共同研究により、構造ショックが確率的ボラティリティーを許容する形で推計された点が、本年の研究におけるポイントとなっている。研究成果については、アメリカ経済学会、カナダ経済学会、内閣府経済社会総合研究所主催のESRI-CEPREMAP共同ワークショップ等で発表した。また、家計部門のバランスシートを内生化し、担保付借入をモデル化した動学的一般均衡モデルに関する論文が査読付き国際学術誌にアクセプトされた。次に、プロジェクト②についてであるが、投稿していた学術誌によりリジェクトの知らせがあり、現在、理論モデルをさらに改良した上で他の学術誌に投稿することを準備中である。なお、プロジェクト②については、コントロール変数に制約が課されている最適化問題という面で理論的に関連する論文が、査読付き国際学術誌において公刊された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、プロジェクト①について重点的にエフォートを投入した。プロジェクト①は、構造ショックに確率的ボラティリティーを導入した上でモデルを推定し、それを論文に取りまとめ、学会等において報告した。また、プロジェクト①との関連する論文である、家計部門のバランスシート内生化ならびに担保付借入による住宅投資をモデル化した論文が査読付き学術誌にアクセプトされた。その意味においては、プロジェクト①は順調に進捗し、その研究成果も出ているといえる。次にプロジェクト②であるが、残念ながら投稿中であった学術誌から掲載拒否の連絡があった。査読者のコメントを吟味し、モデルを改良したうえで、他の学術誌に投稿することを企画している。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画の通り、プロジェクトを推進していく方針である。プロジェクト①については、順調に推移しており研究成果も出ている。次年度も研究計画に沿って、プロジェクト①を推進していく所存である。具体的には、企業部門と金融部門のバランスシートを内生化するステップはクリアした段階であるといえるので、ここからさらにモデルを大型化し、閉鎖経済体系から小国開放経済体系への拡張、財政部門の導入等を計画している。また、プロジェクト①の研究成果については、内閣府経済社会総合研究所主催のコンファレンス等で積極的に発信し、国際学術誌上における公刊を目指す。次にプロジェクト②については、査読者により有益なコメントを受けたので、これを参考にモデルを改良したい。もし可能であればデータを用いた実証分析を論文に追加し、他の国際学術誌への投稿を行っていく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費は、要求額110万円であり、実際の執行額は約107万円であった。このことから研究費は概ね使用計画通りに執行できたといえる。平成25年度も使用計画に沿って、研究予算の執行を心がける予定である。
|
-
-
-
[Journal Article] 被災地企業の雇用管理2013
Author(s)
櫻木晃裕、大澤理沙、鈴木俊充、西山慎一
-
Journal Title
東北大学大学院経済学研究科地域産業復興調査研究プロジェクト編 『東日本大震災復興研究II 東北地域の産業・社会の復興と再生への提言』
Volume: II
Pages: 72-84
-
-
-