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2013 Fiscal Year Research-status Report

中東欧諸国の通貨危機抑止策、金融政策運営に通貨代替が及ぼす影響の実証的研究

Research Project

Project/Area Number 24730265
Research InstitutionFukushima University

Principal Investigator

熊本 尚雄  福島大学, 経済経営学類, 准教授 (30375349)

Keywords通貨代替 / 金融政策
Research Abstract

アメリカ以外の国の国内でドルが貨幣として用いられる現象は「ドル化」と呼ばれ、これには、ドルが法定通貨として用いられる「公式的ドル化」と独自の法定通貨と並行的にドルが貨幣として用いられる「非公式的ドル化」がある。また、非公式的ドル化は貨幣が持つ三つの機能に着目し、ドルが計算手段として用いられる価格代替、支払手段として用いられる通貨代替、価値貯蔵手段として用いられる資産代替の三つに分類される。
このうち通貨代替に着目し、通貨代替を理論的、および実証的に分析する際の論点、とりわけ通貨代替モデルの定式化における論点を整理した。
具体的には、通貨代替を分析する基本モデルとして、money-in-the-utility-functionモデルを並行通貨に拡張したモデルを構築し、通貨代替が金融政策の効果に与える影響を分析した。分析に際しては、物価水準が伸縮であるため、購買力平価が成立し、また金融市場が完備であるため、カバーなし金利平価式が成立する経済を想定した。
分析の結果、通貨代替は名目為替相場の変動、外貨保有(対外資産の蓄積)、消費の限界効用という三つの経路を通じて、金融政策の効果を弱めることを示した。
しかしながら、以下のような課題が残されている。まず、購買力平価が成立する経済を想定したため、通貨代替が実質為替相場に与える影響については明らかにすることができていない。また、物価水準についても伸縮性を想定したため、通貨代替が期待インフレ率に与える影響についても分析できていない。さらに、金融市場にちいて完備性を想定し、カバーない金利平価式が成立する状況を想定したため、リスク・プレミアムや対外純資産が与える影響についても分析することができない。
したがって、今後は、物価水準の粘着性、不完備金融市場の世界を想定した小国経済モデルを構築し、以上の分析をより精緻化していく必要がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

通貨代替の理論分析に関しては、数多くの先行研究が存在する。しかしながら、理論的に分析する際の論点が十分に整理されているとは必ずしも言えない状況にある。そこで、論点を整理するとともに、その論点を理論的に分析する際に直面する定式化上の問題点についても整理を行った。
これは、これまでの研究内容を捉えるうえでも、また今後の研究を遂行していくうえでも極めて重要なものとなる。この意味において、当初予定していた目標は、順調に進展していると判断できる。

Strategy for Future Research Activity

上記した課題を踏まえた新たなモデル(小国開放経済下で独占的競争市場と価格の粘着性を考慮した標準的なNew Keynesianのフレームワークに基づく動学的確率的一般均衡(DSGE)モデル)を構築し、これまで行ってきた通貨代替の程度が金融政策に及ぼす影響についての分析を精緻化することが急務である。
また、カリブレーション分析も行い、定量的な結果についても示す必要がある。この他にも構築したモデルに基づく実証分析(中東欧諸国、アジア諸国を対象)やミクロ的基礎を持つ損失関数を用いた最適なターゲットポリシーの分析も行っていく。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

継続的に発注しているIMFのデータ(CD-ROM)の価格が為替レートにより浮動的であるため、残額に余裕を持たせた予算執行を行ったこと、および注文していた複数の書籍が年度内に届かなかったことにより、次年度使用額が生じた。
上記の研究を遂行するに当たり必要となるデータ(International Financial Statistics(Cd-ROM)、Direction of Trade Statistics(CD-ROM)、Balance of Payments(Cd-ROM))や関連書籍(Annual Report on Exchange Arrangements and Exchange Restrictions等)の購入、学会や研究会(日本経済学会、日本金融学会等)へ参加するための旅費、海外雑誌への投稿料を中心として使用する予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results)

  • [Journal Article] 通貨代替の経済分析2014

    • Author(s)
      熊本尚雄・熊本方雄
    • Journal Title

      商学論集

      Volume: 82 Pages: 43-66

    • Peer Reviewed

URL: 

Published: 2015-05-28  

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