2012 Fiscal Year Research-status Report
慈善行動の意思決定と制度設計に関する行動経済学的分析
Project/Area Number |
24730271
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥山 尚子 大阪大学, 社会経済研究所, 特任助教 (80617556)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 利他的行動 / 向社会的行動 / 寄付 / ボランティア / 社会的選好 |
Research Abstract |
本研究は、慈善行動(寄付・ボランティア)について、行動経済学的見地から分析し、利他的行動の意思決定メカニズムを実証的に明らかにしようとするものである。 今年度について、当初の研究計画に従い、災害時と平時の慈善行動の比較および主体間の慈善行動と選好特性の関係の比較に関する実証分析を行った。 第一に、経済学や社会学や社会心理学における利他的行動に関する先行研究について、系統的な調査を行なった。理論・実証・実験などの研究手法による区別だけでなく、贈与・援助行動の行動類型、行動主体や活動分野別など、複数の分析軸により、分野横断的に既存研究の成果を整理した。 第二に、災害時の慈善行動に関する統計データや関連文献等の調査の調査を行なった。また、The Center for Philanthropy at Indiana University-Purdue University Indianapolisのデータ・アーカイブの活用や当該研究の専門家との研究成果に関する意見交換、東日本大震災時における中間支援組織および非営利法人等へのヒアリング調査を行なった。 第三に、実証分析におけるモデルの検討を行った。先行研究や実態調査等を通して得られた知見や問題意識等を整理し、検証仮説の設定と、理論・実証モデルについて検討を進めた。続いて、大阪大学経済学研究科グローバルCOEによる「くらしと好みと満足度についてのアンケート調査」や、日本ファンドレイジング協会による「寄付とボランティアに関する意識調査」より提供された家計の慈善行動に関するパネル調査の個票データを用いて、実証分析を行なった。研究会および国内外の学会で研究成果を発表を行ない、次年度研究におけるいくつかの重要な含意と課題が得られた。現在、発表を通じて得られたフィードバックも含めて論文を改定し、近日中に投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年の研究計画における実施項目について、概ね達成できた。加えて、分析の理論的枠組みや分析手法等について、改善および精緻化のための具体的な課題も確認でき、次年度以降の研究のためのより具体的な計画や目標、作業項目を設定することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画に従い、研究を遂行していく。 次年度では、国際比較や地域比較に関する分析や調査を行うことを予定しており、手法や分析対象に関する新たな先行研究の把握や、関係機関等へのヒアリングが必要となる。研究ネットワークを活用して、効率よく効果的に成果が挙げられるように、計画的に進めていきたいと考えている。 前年度における分析上の課題についても、次年度研究を円滑に遂行できるよう、速やかに取り組みたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(11 results)