2013 Fiscal Year Research-status Report
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24730276
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
高橋 秀朋 法政大学, 経済学部, 准教授 (90583659)
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Keywords | コーポレートガバナンス / 機関投資家の規律付け |
Research Abstract |
本研究の目的は、どのようなガバナンスシステムや企業の保有構造が長期的な企業価値の向上に寄与するのかという点や有効なガバナンスの手段は何であるかを明らかにすることであった。25年度においてはeolデータベースから大規模株主の取引行動データを構築し、大規模株主の取引行動が株価にどのような影響を与えるかを分析する予定であった。 25年度において、大規模株主の取引行動データ構築は完了したが、当該データのサンプル期間が制限されていることもあって、他のデータベースとのマッチング後の分析に十分なサンプルが残らないなどの問題もあり、データの活用方法に苦慮することがあった。 そこで、代替的なデータを利用することで研究課題の継続ができないかを検討した。具体的には、25年度の研究において、企業の機関投資家の保有構造と強く関連する空売りが株価に与える影響を分析することとした。機関投資家の保有割合が増加すると空売りの供給量が増えるということが言われており、当該テーマはコーポレートガバナンスの観点からも重要な課題といえる。空売りを行う投資家が市場価格の効率性に寄与しているのか、それとも、投機的な取引によって不安定化するのかを日経225の銘柄除外に注目し検証した。当該検証においては、日経225の銘柄除外が公表されると、空売りを行う投資家は通常期と異なり、投機的な行動をし市場価格の効率性には寄与していないことが明らかになった。 上記の論文を25年度の半ばにJournal of Banking and Financeに投稿したが、採択されず、現在は当該論文の改訂を行っている途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
eolデータベースから大規模株主の取引行動を把握するデータベースの構築は完了したが、当該データベースのサンプル期間は限られており、研究の方向転換を求められた。そこで、株主の保有構造と大きく関連してくる投資家の空売り行動に注目し、企業のガバナンスに関連する分析を継続することが可能となったが、当初のアプローチとは異なる分析となっている点や25年度に執筆した論文が採択されなかったという点を考慮すると、目標の達成度は十分といえない。また、平成25年度に執筆した論文の改訂が今後も必要なことからも、進捗はやや遅れているという評価になると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
25年度の当初の目的は、24年度と同様に1本の論文を執筆し、それを掲載の前段階(ジャーナルからの改訂要求の段階)までに仕上げることであった。しかしながら、25年度においてはそれを達成することができなかった。そこで、26年度中は25年度中に書いた論文を改訂し、より高度な論文へと仕上げることを目標と考えている。また、時間的な有余があれば企業の外部資金調達などのイベントに注目し、それらのイベントに機関投資家がどのように反応しているかの検証を行っていきたいと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定では25年度において執筆する論文をジャーナルから改訂要求がある段階まで仕上げることであった。しかしながら、当該論文が採択されないという通知があっただけでなく、その決定に4ヶ月の期間を要したため、改訂を行い別のジャーナルに投稿するということができなかった。そのため、論文の改訂や発表に関連する費用の支出が当初の予定より少なくなったことが主な理由である。 26年度の使用計画としては、25年度に執筆した論文がジャーナルに採択されなかったため、交付金を論文の改訂や発表に関連する費用に充当する予定である。具体的には、交付金をアジアやヨーロッパへの海外出張費(\300,000程度)、論文の校閲・査読にかかる費用(\150,000程度)、その他PC等の備品の購入(\100,000程度)に充当する予定である。
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