2014 Fiscal Year Research-status Report
新規株式公開時の価格形成における個人投資家の役割に関する実証研究
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24730279
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Research Institution | Gifu Shotoku Gakuen University |
Principal Investigator |
高橋 陽二 岐阜聖徳学園大学, 経済情報学部, 准教授 (20566533)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新規株式公開(IPO) / 価格形成 / 個人投資家 / イノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度の実績は、雑誌論文・学会発表・図書各々1件であった。 2004年4月-2005年12月におけるジャスダック市場のIPO企業を対象に、初値形成プロセスとアンダープライシングおよびIPO後の株価パフォーマンスの関係を再検証した。分析の結果、(1) 取引成立までの時間がアンダープライシングにプラスの影響を与え、(2) アンダープライシングが株価パフォーマンスにマイナスの影響を与えていることが明らかとなった。 次に、2006年8月-2012年におけるジャスダック市場のIPO企業を対象に、個人投資家への配分とアンダープライシングの関係を検証した。分析の結果、不況期において、個人投資家への配分がアンダープライシングにプラスの影響を与えていることがわかった。また、活況期には、むしろ係数の符号はマイナスを示している。これらの分析結果は、欧米を対象とした先行研究とは異なる含意があるものと考えられる。 これまで、イノベーションを実現させるうえで重要な論点として、IPO時の価格形成を分析してきた。しかし、多くの企業が、イノベーションを実現させるためにどのように取り組んでいるのかについて、ファイナンスの視点から検討する機会はなかった。オープン・イノベーションを検討するため、大企業と新興企業を分類し、研究開発費と投資有価証券の金額推移を見たあとで、ケース分析を行った。分析の結果、(1) 大企業の「内部の知識の深化」は景気動向に緩やかに影響を受けているが、新興企業はそれほど左右されていない、(2) 「外部の知識の探索」は企業規模に関係なく景気動向に連動し、「自社にはない新規分野」や「基礎的な」研究活動を求めていることがわかった。ケース分析から、戦略的な選択の結果として、「内部の知識の深化」と「外部の知識の探索」の間にトレードオフがあることもわかった。イノベーションのためのファイナンスを検討する意義は大きい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アロケーション(配分)状況に関するデータセットを整備し、分析結果を学会にて発表することができたことから、おおむね順調に進展しているものと考えている。今後は、英文化に伴う海外コンファレンス・学会での発表および雑誌論文としての発表に向けて注力する予定であるが、その素地ができたものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までの課題の多くは、平成26年度の研究実績においておおむね解決している。そのため、今後の研究の推進方策としては、英文化に伴う海外コンファレンス・学会での発表および雑誌論文としての発表というプロセスを通じて、研究の進展および精緻化を図る。
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Causes of Carryover |
平成24-25年度の【現在までの達成度】でも指摘しているように、(1) アロケーション(配分)状況に関するデータセットの整備、(2) 研究課題に密接に関係する論点の研究、にかなりの時間を要したため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、申請研究を進展、精緻化させることに注力するため、英文化に伴う海外コンファレンス・学会での発表および雑誌論文としての発表に必要となる、英文校正費、申請費、旅費等の経費として使用する予定である。
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Research Products
(5 results)