2013 Fiscal Year Research-status Report
非伝統的金融政策の波及メカニズムに関する実証研究―金融構造の視点からの日米比較
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24730285
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
王 凌 阪南大学, 経済学部, 准教授 (60574019)
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Keywords | 非伝統的金融政策 / 金融構造 / 日本 / アメリカ / 銀行貸出 / ポートフォリオ・リバランス効果 |
Research Abstract |
今年度では、金融構造によって、日米の非伝統的金融政策が銀行貸出への波及効果に有意な相違があるかどうかを、日本(量的緩和期間)とアメリカ(CE&LSAP1)の時系列データを用いて実証分析を行った。 具体的にいうと、主に次の3つの問題について検証した:(1)日本(銀行中心型金融システム)とアメリカ(市場中心型金融システム)の両国間、銀行貸出に対する非伝統的金融政策の効果に違いがあるのか?(2)銀行業構造の違いが非伝統的金融政策の効果にどのような影響を与えるのか?(3)日米両国間、非伝統的金融政策のポートフォリオ・リバランス効果に違いがあるのか? 実証分析の主要な結果は、以下の通りである。 (1)日米両国とも、銀行貸出に対する非伝統的金融政策の効果が弱い。(2)アメリカは、日本と比べて、非伝統的金融政策のポートフォリオ・リバランス効果が大きい。(3)日本の場合、中央銀行による長期国債買い入れの影響が中央銀行による市場流動性供給の影響より大きいが、アメリカの場合、逆の結果が検出された。即ち、中央銀行による市場流動性供給の影響が中央銀行による長期国債買い入れの影響より大きい。(4)日本では、銀行貸出の増加は中央銀行の長期国債買い入れを増加させるが、アメリカでは、銀行貸出の増加は中央銀行の市場流動性供給を増加させる。(5)日本では、中央銀行による長期国債買入れが市場流動性供給にプラスの影響を与えるが、アメリカでは、このようなことが検出されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金融構造によって、日米の非伝統的金融政策が銀行貸出への波及効果に有意な相違があることを実証的に明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、時系列データを用いて実証分析を行ったが、次年度、パネルデータでの検証も試みたい。
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Research Products
(2 results)