2013 Fiscal Year Research-status Report
近代華南におけるヒトの移動に関する社会経済制度の研究:労働者の移動と人身売買
Project/Area Number |
24730289
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 衛 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (50346053)
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Keywords | 廈門 / 華人 / 北ボルネオ / イギリス / 清朝 / 中華民国 / 香港 / シンガポール |
Research Abstract |
史料収集としては、京都大学内の各図書館で中国語・英文史料の収集を進めたほか、東京大学総合図書館ではイギリス外交文書(FO371)、東洋文庫では東南アジア華人関係の史料の収集を行った。また、イギリスでは、ロンドンの国立公文書館でイギリス外交史料のうち領事報告(FO228)・植民地省史料(CO)を収集し、また英国図書館においても北ボルネオ関係の史料収集を行った。 文献研究としては、移民に関連しては「植民地と移民ネットワークの相克―辛亥革命期、廈門における英領北ボルネオ華工募集事業を中心に」『東洋史研究』第72巻4号、2014 年3月を公刊し、辛亥革命期のイギリス北ボルネオ会社による華人労働者移民事業の分析を行い、華人労働者の移民ネットワークの果たした役割を明らかにした。また、以下の3点の論文においても、華人についての検討を行い、また対外的な発信を行った。 ・“Two Bonded Labour Emigration Patterns in Mid-Nineteenth-Century Southern China: The Coolie Trade and Emigration to Southeast Aisa”, in Gwyn Campbell and Alessndro Stanziani eds, Bonded Labour and Debt in the Indian Ocean World, London: Pickering & Chatto, 2013, pp. 153-164. ・「効かない証明書──19世紀末、鎮江における通過貿易問題」森時彦編『長江流域社会の歴史景観』京都大学人文科学研究所附属現代中国センター、2013年10月、pp.81-101. ・「晩清時期廈門英藉華人的経済活動」謝国興編『中央研究院第四屆国際漢学会議論文集:辺区歴史与主体性形塑』中央研究院台湾史研究所、2013年12月, pp. 3-44.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
史料収集については日本国内の史料については収集を十分に進めた。またイギリスにおいても、文献資料を積極的に進めることができた。さらに、研究結果の発信については、本研究にもとづく「植民地と移民ネットワークの相克―辛亥革命期、廈門における英領北ボルネオ華工募集事業を中心に」を公表したほか、“Two Bonded Labour Emigration Patterns in Mid-Nineteenth-Century Southern China: The Coolie Trade and Emigration to Southeast Aisa”、 「効かない証明書──19世紀末、鎮江における通過貿易問題」、「晩清時期廈門英藉華人的経済活動」の3本の論文でも本研究に関連した研究成果を公刊し、対外的な発信を行った。さらに、フランス(パリ)のEHESSにおいては以下の4回の報告を行い、研究成果を広く発信することができた。 ・“Pirates of Fujian and Guangdong and the British Royal Navy: Pirates along the Coast of Fujian during the Mid-Nineteenth century”, EHESS Seminar “ Histoire du Japon moderne et contemporain : permanences et ruptures”, 2014年2月20日 ・“Opium Trade in the Coastal Area of China before the Opium War” , EHESS Seminar “Vers une histoire des jeux de hasard en Chine, le cas du fantan”, 2014年3月3日 ・“‘Traitors’ and the Qing Government’s Policies toward Coastal Residents of Fujian and Guangdong during the First Opium War”, EHESS Seminar “ La Chine républicaine (1912-1949) : nouvelles approches historiques” , 2014年3月4日 ・“The End of the Coolie Trade in Southern China: Focus on the Treaty Port of Amoy”, EHESS Seminar “Critique de l’économie historique”, 2014年3月10日
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの日本語・漢文・中国語・英文史料の収集を生かしつつ、国内では東京大学東洋文化研究所・東洋文庫などで漢文・中国語史料の最終的な史料収集につとめるほか、京都大学東南アジア研究所において英文史料の補充を進める。国外では、最終年度であるため、出張先をイギリスの国立公文書館にしぼり、外務省文書・植民地省文書を中心にした史料収集を行う。 文献研究としてはこれまで行ってきた国内およびイギリスにおける英文史料収集を生かしつつ、漢文・中国語の史料をつきあわせて研究を進める。労働力の移動については、中国人による移民制度に関わる香港・シンガポールにおける利権集団の実態を解明する。人身売買に関しても中国華南沿海から東南アジアに至る広域的な制度に対する考察を進めていく。 国内外の学会には引き続き積極的に参加し、本研究に基づく発信を積極的に行っていく。現在のところ、2014年5月末から韓国の東洋史学会春季学会において報告を行い、また漢陽大学において講演を行う予定である。さらに、労働力移動に関する英語論文による研究成果の公表を準備している。このほか、世界的な移民史研究など、他分野との交流を一層深め、そこでの議論を研究のとりまとめの方向に生かしていく。
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Research Products
(9 results)