2013 Fiscal Year Research-status Report
近代中国におけるビジネススクールと高等商業教育―銀行業との関連から
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24730295
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
林 幸司 成城大学, 経済学部, 准教授 (30612775)
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Keywords | 経済史 / 中国 / 商業教育 |
Research Abstract |
本研究では、近代中国におけるビジネススクールと高等商業教育の展開について、銀行業の発展と関連づけながら検討し、当時出現した新たな経済人が、社会の内側から伝統的商慣行を変容させていく過程を解明することを目的とする。 本年度はまず本研究の主要な研究対象である、St. John’s University, Shanghaiと関係が深く、高等商業教育の代表的存在である、ペンシルバニア大学ウォートンスクールに関する資料を閲覧するため、同大学アーカイブ(University Archives and Records)における調査を実施した。ここでは、同大学の出版物(年報や報告書など)および留学生関係資料(卒業生の新聞資料など)に関する史料調査を実施した。これらの調査により、中国人留学生のペンシルバニア大学における学位取得状況や、中国の大学との交流状況、また同大学におけるカリキュラム編成など、これまでの研究で十分明らかにされてこなかった事項についての基礎的な資料を揃えることが可能となった。 つぎに、ワシントンD.C.では、米国議会図書館(Library of Congress)において、St. John’s University, Shanghaiに関する英文年報資料(St. John’s University Catalogue)および同時代の研究書籍などを閲覧した。これらの資料閲覧により、代表者が過去においておこなった中国史料調査で欠けていた部分の資料を収集することが可能となった。 なお、本年度の研究成果については、研究論文および国際学会報告の形で報告している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主要な目的は、(1)アメリカ系教会学校のビジネススクールという具体的な研究対象を設定し、これを中国・アメリカ・香港・日本の視点から位置づけること、(2)ビジネススクールの分析を、代表者が研究を進めてきた銀行業界の動向と結びつけ、欧米に端を発する高等商業教育が中国の商慣行を内側から変革していく過程を明らかにすること、にある。 本年度は、アメリカ合衆国(ペンシルバニア大学、議会図書館)における調査を実施し、中国におけるアメリカ系教会学校とアメリカ本国の大学との交流について、アメリカ側の史料を広く収集することができた。これにより、研究はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の今後の課題は、(1)アメリカ系教会学校のビジネススクールを、中国・アメリカ・香港・日本の視点から位置づけること、(2)ビジネススクールの分析を、代表者が研究を進めてきた銀行業界の動向と結びつけ、欧米に端を発する高等商業教育が中国の商慣行を内側から変革していく過程を明らかにすること、にある。 2014年度については、上記(1)および(2)について検討をおこなうため、引き続きアメリカなどにおける調査を実施するとともに、これまで行ってきた研究結果の総括をすすめていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
諸事情により、予定していた海外出張の一部をとりやめたため、次年度への繰り越しが生じた。 次年度において、予定していた海外出張および資料購入の形で使用する計画である。
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Research Products
(2 results)