2013 Fiscal Year Research-status Report
米国援助と台湾の重化学工業化―民営化・自由化・資本市場
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24730299
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Research Institution | Osaka Sangyo University |
Principal Investigator |
湊 照宏 大阪産業大学, 経済学部, 准教授 (00582917)
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Keywords | 資本市場 / 民営化 |
Research Abstract |
米国援助(1950~65年)終了後も台湾経済が成長を持続し得たのは何故か、という問題意識のもと、台湾資本市場の確立過程に分析対象を設定した。先行研究においては、政府による市場に友好的な政策(輸入代替工業化→輸出志向工業化)が機能して経済成長が達成され(ウェイド[2000])、輸出志向工業化過程における中小企業の役割に注目が集まっている(隅谷三喜男ほか[1992])。いずれも資本調達に関しては、日本の円借款や、華僑を含む外資への依存といった外在的要因による説明がなされている。本研究では、内在的要因を探るため、台湾資本市場の形成に着目した。 台湾資本市場の形成過程については、1950年代前半における土地改革との整合的理解が必要である。地主へ配られた台湾水泥公司・台湾紙業公司・台湾工礦公司・台湾農林公司といった地価補償株券は、各社における数万人規模での大衆株主を叢生させ、まず証券の大衆化が進展した。次に1961年に台湾証券交易所が成立し、翌年開業すると、上述した4社の株券のほか、台湾糖業・台湾電力の株券を中心に売買された。また、亜洲水泥・中国人造繊維といった米国援助の対象企業や、台湾塑膠工業といった新設大企業による新規上場も相次ぎ、台湾証券交易所は民間大企業にとって資金調達の場として機能した。しかし、1960年代台湾における資本市場は未熟で投機性が高く、先行研究が指摘してきた外資導入の重要性や、銀行を介した間接金融との統合的把握が今後の課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
台湾にある證券雑誌により、当時の上場企業の株価や財務状況の分析が可能となり、證券交易所開設時の状況が把握できるようになった。
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Strategy for Future Research Activity |
米国援助期における民営企業および公営企業の資金調達過程を把握し、米国援助資金への依存から、資本市場での資金調達や銀行を介した融資など、台湾内における資金調達へと変わった具体的過程を明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
一昨年度および昨年度に米国・中国出張を実施できなかったことが主要な原因となり、前年度までの実支出額累計が計画より下回ってしまった。 今年度は米国・中国・台湾出張を実施して資料を収集し、その資料のデータ入力・分析などに力を入れる予定であり、海外出張費やデータ入力のためのアルバイト雇用費などに助成金を使用する計画である。
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Research Products
(5 results)