2012 Fiscal Year Research-status Report
萌芽期熱帯産品輸出経済の研究:18世紀の南・東南アジアとオランダ東インド会社
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24730301
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
島田 竜登 東京大学, 人文社会系研究科, 准教授 (80435106)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | アジア経済史 / 開発 / 貿易 / プランテーション / 小農経営 / グローバル化 |
Research Abstract |
本研究は、18世紀における南アジアならびに東南アジアでの熱帯産品輸出経済の萌芽・形成を分析するものである。具体的には、ジャワ、ベンガル、コロマンデル、グジャラートにおける砂糖、綿布、アヘンなどの栽培と生産を検討し、とくに生産地の開発と労働組織、集荷や輸出といった実態を、オランダ東インド会社文書を利用することで考察する。以上の研究により、東アジアとは異なった発展経路をもつ南・東南アジア経済を歴史的に解明し、もって、実証的に近代アジア・世界経済における国際分業体制下にローカルな熱帯産品輸出経済がいかに形成されたかを明らかにすることで、実証的なグローバル・ヒストリーの議論の下地ともなりうる研究を目指す。 本初年度は、まず、東南アジア、南アジアにおける状況を概観的に把握するため、オランダ東インド会社の作成した文書を利用し、数量的ないしは概括的な数量データや情報を収集することにつとめ、その後はとくに東南アジアでの状況をより詳しく調べた。用いた史料としては、オランダ国立公文書館の所蔵する『バタヴィア経理局長文書』、さらには同館所蔵の『オランダ東インド会社文書』に収められているバタヴィア総督府の本国向け報告書である「一般政務報告」、バタヴィア総督府の決議録である「インド参事会決議録」、アジア各地の商館の発信記録である「インドよりの到来文書」あるいはインドネシア国立公文書館の所蔵する『オランダ東インド会社総督府文書』中の「バタヴィア城日誌」などがある。 成果としては、論文2件、書評1件、口頭報告5件がある。また、チェアーないしはオーガナイザーとして携わった国際会議あるいは国際学会のパネル・ディスカッション・セッションが3件ある。さらに、査読中ないしは印刷中の論文原稿が3件あり、2013年度には国外での招待報告が2件予定されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2012年4月に所属研究機関を変更したため、当初2か月程度は計画の実行に遅れが見られたが、順次回復することができた。なお、本研究は、18世紀におけるオランダ東インド会社のアジア内での経理文書である「バタヴィア経理局長文書」(オランダ国立公文書館所蔵)を多用するが、当該文書は2013年夏にオランダ国立歴史研究所がデータベースとして公開することとなった。そのため、2013年度以降の研究は当初の計画以上に進展するものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度もインドネシア国立公文書館の所蔵文書を利用する予定である。本公文書館の利用に際しては研究ビザが必要とされるが、インドネシア側との協力を推し進め、この取得(研究許可の更新)に意を払い、確実に文書の利用を実現することとしたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度の使用額については、当初の予定に対して残額(次年度使用額)が生じているが、本研究が対象とする文書の刊行史料集を古書市場から購入し、写真撮影による副本の作成などの時間を節約することにする。
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