2013 Fiscal Year Research-status Report
〈たまり場〉と開放的空間におけるイノベーション創出活動に関する実証研究
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24730304
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
阿部 智和 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20452857)
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Keywords | 経営組織論 / コミュニケーション / ワーク・プレイス・デザイン / イノベーション / 知識創造 |
Research Abstract |
平成25年度の研究実績は以下の通りである. ①わが国におけるワークプレイス研究が辿り着いた知見を整理すべく,文献サーベイを進めた.その結果は,阿部(2013)および,阿部(2014)において公表済みである.これら2本の論文を通じて,本研究課題とこれまで取り組まれてきたワークプレイス研究との関係性を明らかにすることができたと思われる.より具体的には,阿部(2013)では,2000年ころまでの日本のワークプレイス研究が,機能性と快適性の追究をめざして行われてきたことを明らかにした.その結果,ワークプレイス内で発生するメンバー間の相互作用については十分な検討がなされないという問題が残されていたことも指摘した.また,阿部(2014)では,阿部(2013)では研究対象としなかった2000年以降のワークプレイス研究について,文献サーベイを進めた.その結果,2000年代以降,知的生産性および知識創造を鍵概念として,建築学,経営学などの研究者たちや実務家たちが多様な研究,実践的試みを積み重ねていることが明らかになった.しかしながら,領域を横断した研究が行なわれておらず,知的生産性の測定尺度が十分には開発されていないことが明らかになった. ②また,新規に共同研究として,コワーキングに関する研究を開始した.同研究と本研究課題には,ワークプレイスのデザインとワークプレイス内で発生するメンバー間の相互作用に注目するという特徴がある.平成26年度以降は,これら2つの研究を並行して進めることによって,研究が一層促進すると考えている. ③本研究課題の研究成果の一部を発表するために,学会発表に応募し,受理された.平成26年6月に発表予定である. ④研究代表者のここまでの研究成果をまとめて,公表するための準備作業がおおむね終了した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度には,2本の学術論文を公表することができた.この2本の論文により,我が国のワークプレイス研究に関しての見取り図を作成できたものと思われる.また,平成26年度中に,国内学会での学会報告を行う予定である.これをもって,研究代表者のここまでの研究知見を書籍としてまとめる作業が終了する予定である. また,平成25年度から創始したコワーキング研究との知見の共有が進んでいる.これらの調査対象は,本研究課題における,新たなリサーチサイトとして活用することも可能であると思われる. しかしながら,本研究課題単独で対象とする新たなリサーチサイトとの調整が十分に進んでおらず,調査が遅れているという問題が残されている.ただし,質問票の作成などはおおむね目途が立っており,実際に調査を開始すれば,ここまでの遅延は平成26年度中に取り戻すことができると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,以下の5つの作業を進める予定である. ①6月に国内学会にて,これまでの研究成果を発表する.②学会発表とほぼ同時期に,書籍化に向けた原稿の最終的な確認を終える.③新たなリサーチ・サイトに対して,参与観察やインタビュー調査を行なう.その知見を学内および学外での研究会で発表し,論理の精緻化を図っていく.④定量的調査で用いる,質問票の開発を終了させ,調査を開始する.より具体的には,学内および学外の研究会において発表を行ない,得られたコメントをもとに内容の精緻化を進め,平成26年度後半に質問票調査を行う.その結果を年度内にまとめ,学会誌に投稿する.④海外学会および海外大学との共同コンファレンスでの発表を平成27年度中に行なうために,平成26年度内に応募するための論文の執筆を進める.⑤平成25年度に創始したコワーキング研究との知見の共有化を進め,本研究課題およびコワーキング研究の双方において,学術論文(レビュー論文および実証論文),ケースの執筆を進めていき,学会誌,学内紀要,学内ワーキング・ペーパー等で研究知見の公表をを進めていく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度中に,リサーチサイトとの調整が済まずに,調査(質問票調査及び参与観察,聞き取り)に移行することができなかった.そのため,調査を平成26年度に延期することとした.延期した調査も含めて精力的に調査を行うことで,繰り越した予算を平成26年度中に執行する計画である. 上記の理由に記載の通り,繰り越した予算は平成26年度中に行なう調査(旅費,質問票の印刷等)に使用する計画である.
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