2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730313
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
服部 泰宏 横浜国立大学, 国際社会科学研究院, 准教授 (70560150)
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Keywords | 心理的契約のデザイン / 採用 / 募集 / 選抜 / 組織社会化 / 心理的契約の調整 |
Research Abstract |
当該年度は,本研究の主たる関心である心理的契約の調整の問題を,企業による「採用活動」と関連付けることに注力した。日本企業において採用に関わる研究は,その重要性と発展可能性にもかかわらず,まだまだ未発達であり,また理論的なパースペクティブを欠いたままとなっている。その点,本研究が立脚している心理的契約は,この分野における重要な概念になると考えている。 本年度の具体的な研究実績としては,まず第一に,下記のような研究の進展に先立って,昨年度までの研究蓄積をベースにいくつかの研究発表を行っている。例えば現在投稿中の論文では,心理的契約が採用時においてどのようにデザインされうるのか,それは採用後にどのような結果をもたらすのか,ということを実証的に検討しており,まさに採用の問題と心理的契約の問題を架橋するための第一歩として位置づけられる。 そして第二に,心理的契約の関係性に関わる膨大な研究のレビューがあげられる。必ずしも十分なつながりがみられなかったこれら2つのテーマを,「マッチング」という観点から架橋し,具体的な研究の方向性を見出すことができたと考えている。こちらの成果は,近日中に,レビュー論文として報告する予定である。 第三の成果は,複数の企業との共同で,採用時における心理的契約の調整(期待のマッチング過程)にかかわる調査を開始,データの収集を始めたことである。10社程度の採用ベンダーや企業の人事部と共同して,そうした企業が持つ人事データや,企業の採用行動に関わるデータの分析を通じて,採用においてどのように心理的契約の調整(期待のマッチング)が図られていくのか,ということを検討しているところである。こちらも,近日中に論文として報告する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の主たる関心である心理的契約の調整の問題を,企業による「採用活動」と関連付けることにより,研究の実践的な意義が飛躍的に増加したと考えている。事実,すでに10ほどの企業との濃密な共同研究がスタートしており,本研究のメイントピックである「心理的契約の調整」の問題にとどまらない,新たな研究の方向性を見出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方向性としては,まず,現在行っている企業との連携を維持しつつ,現時点で既に得ら得ている採用と心理的契約に関わるクロスセクショナルデータだけでなく,パネルデータの収集を行っていくことである。 採用活動における企業のどのような行動が,求職者に対してどのような影響をもたらし,その中で心理的契約がいかに調整されてい行くのか。またそれは,採用後にどのような結果として現れるのか。こうした点について計量経済学的な手法を用いて分析をしていきたいと考えている。 現時点では大きな課題は見当たらないが,上記のように研究の可能性が広がっただけに,本研究の範囲をどこまでに限定するべきか,という研究ドメインについては真剣に考えなければならないと考えている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
出張に関わる出費が,想定していたよりも安価に済んだため,若干の持ち越しが発生した。 最終年であるため,今期は計画的な使用を心掛けたい。 すでに研究成果報告の予定がいくつかあるため,予定通りの償却ができると考えている。
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Research Products
(11 results)