2014 Fiscal Year Research-status Report
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24730319
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
犬飼 知徳 中央大学, その他の研究科, 准教授 (60380143)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 知識移転 / グローバル企業 / レント・シーキング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,多国籍企業(以下では,MNCと略)内部において本社と海外子会社の間や海外子会社間における知識移転メカニズムを本社と海外子会社の相互作用の視点から明らかにすることにある. この問題を考察するために,本研究では組織内の知識移転について次の視点を導入する.それは,知識移転の問題は,海外子会社が創造した知識が移転できるか(able to transfer)という問題と海外子会社が知識を移転する気があるか(willing to transfer)という問題を分けて考えるというものである(Mudambi and Navarra,2004).この二つのうち,後者の視点に立つのが本研究の特徴である.この視点に立つと,MNC内で知識移転に対してイニシアティブを持つのは,本社ではなく,むしろ各海外子会社ということになる.この状況では,本社との関係において,海外子会社は自らに有利な資源配分を獲得するために知識移転を利用するというレント・シーキングを行なう可能性がある.本研究では,MNC内におけるレント・シーキングが具体的にどのような形で行われており,それがMNC全体の資源配分や業績などにどのような影響を及ぼしているのかについて,詳細な事例研究によって明らかにする.本研究では,補助金の交付期間内に,以下の3点を明らかにしたいと考えている. (1))何社かの具体的なMNCの丹念な事例研究を通じて,企業内で実際に行われている知識移転に関するレント・シーキング活動がいかなるものかを明らかにすると同時に分類する作業を行なう. (2) レント・シーキング活動が及ぼす全社的な影響について,より詳細な事例研究を行なう. (3) MNCの本社と海外子会社間の具体的な知識の流れ(企業内の特許の相互利用)についての実証研究を通じて,レント・シーキングと知識移転の関係を明らかにする.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
リサーチ・サイトとなる企業の選定が遅くなったことに伴い,それ以降の研究予定が全体的に遅れている.本来であれば,昨年度までに学会での研究発表や論文執筆を行う予定であったが,それらが今年度にずれ込んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度はこれまでの調査結果をまとめ上げて,アウトプットを中心に研究を進めたいと考えている.ただし,聞き取り調査とフィールド観察を中心としている研究であるので,今後も調査を並行して進めていく予定である.
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Causes of Carryover |
研究計画がやや遅れており,この科研費についてのアウトプットを形にするまでの時間が足りないため,もう1年継続して研究を行う必要がある.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国内外の学会における研究発表のための旅費 国内外の学術雑誌へ投稿するための諸経費
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