2013 Fiscal Year Research-status Report
雇用型テレワーク導入におけるダイバーシティ・マネジメントの浸透・定着に関する研究
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24730323
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
脇 夕希子 九州産業大学, 商学部, 講師 (90587453)
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Keywords | 在宅勤務の現状 / 在宅勤務の課題 |
Research Abstract |
テレワークの浸透、定着を進めるためのテレワークの現状と課題を明確にした。 現状は、組織に雇用され従事している、雇用型テレワーク率(国土交通省テレワーク人口実態調査での用語)は、自営型テレワーク率と比較して従事している割合が低いこと。在宅勤務の効果には、ダイバーシティ・マネジメントと同様の効果である生産性の向上、有能な人材の確保・維持、ワークライフバランスの充実がある。 一方で、在宅勤務は労働超過を引き起こし、ワーク・ライフ・コンフリクトも引き起こす、また従業員はきちんと評価をされないのではないかという不安を持つ可能性があると文献研究上、明確にした。 しかしながら、在宅勤務を実際に行っている企業の話しを聞くと、「家にいながらでも、会社にいるのと同様」になるように、ITのシステム設計がされている。また、週1回程度の実施である。前者の家にいながらでも会社にいるのと同様、ということは上司は部下を管理できるということである。それゆえ、労働超過や評価という観点は一定部分がクリアになる問題ではないだろうか。さらに、実施は週1回程度というのは、部下が1日出張に行くのと同様の不在期間である。1日出張の部下を評価できないという上司はいないであろうし、出張に行く部下が上司に評価されていないという不安をおこすこともない。 以上のことより、テレワークの課題は会社不在によって自身の評価が低くなるのではという不安の気持ちが従業員にとって在宅勤務の阻害となり、企業にとっては在宅勤務が喫緊の課題でないことが在宅勤務の阻害になっていると考える。 したがって、在宅勤務の浸透には第1に、在宅勤務の必要性を企業が認めることである(これはダイバーシティ・マネジメントと同様、トップのコミットメントが必要となる)。第2は漸進的に仕事のやり方、教育訓練方法の修正を行い、それに応じた企業の評価制度を組み込むことであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度、大学を異動したため職場になれることを第1に考え、文献研究を中心におこなったため、実態調査がほとんどおこなえなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は2つ行いたい。 第1は実態調査を中心に行うことと。 第2は、宅勤務=評価が難しいという既存の考えの再検討である。企業が在宅勤務を行う際は、「会社にいるのと同様」にできるようITのシステム設計を行っている企業が増えてきた(例えば、ウェブカメラを設置したり、在席しているかどうかがわかるようなシステム、家から内線が掛けれたり出れたりするシステム)。そうなると、そもそも「部下が会社に不在なため、上司が評価することが難しい。」ということが成り立たなくなっているのではないか。とすれば在宅勤務=評価が難しいから実施しないという(今までの研究上なりたっていると考えられている)関連を重視する必要性が低くなる。反対に、在宅勤務は従業員の自律性が求められるため、従業員の自律性を高める教育訓練を重視する必要がある。したがって、在宅勤務をする上で評価に関する再検討をおこなう必要がでてきた。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究旅費をほとんど使用することが出来なかったため、次年度使用額が生じている。 今年度は実地調査を多くおこなう予定であり、その結果と理論研究を踏まえ、アンケート調査を最終年度におこないたいと考えている。
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