2014 Fiscal Year Research-status Report
雇用型テレワーク導入におけるダイバーシティ・マネジメントの浸透・定着に関する研究
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24730323
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
脇 夕希子 九州産業大学, 商学部, 准教授 (90587453)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 在宅勤務 / 仕事の自律性 |
Outline of Annual Research Achievements |
企業の中でダイバーシティを進めるには、労働場所の柔軟性(在宅勤務)も不可避である。それゆえ、現在在宅勤務の可能性を検討している。在宅勤務を行う上で困難な課題は、情報セキュリティの課題、コミュニケーションの課題、過剰労働になるかもしれないという恐れ、仕事と仕事以外の時間の切り分けが難しいことがある。その中で情報セキュリティの課題はクラウドやICTツールの発展で解消可能となりつつある。コミュニケーションの課題は、上司・部下がその点を認識しており、質の高いコミュニケーション(上司は部下の話を注意して聞く、部下は上司に理解してもらおうと詳細に説明するなど)を行いがちである。したがって、過剰労働のおそれ、仕事と仕事以外の時間の切り分けについての課題の解消に焦点をあてる。 他方、在宅勤務の効果のひとつとして自律性の向上がある。しかし、自律性の向上についての自律性とは何かが明確にされていない。そこで①在宅勤務で求められている自律性とは何か、②①で明確になった自律性が、過剰労働のおそれ、仕事と仕事以外の時間の切り分けといった在宅勤務に阻害要因を減少させる可能性があるかを考察した。 ①自律性に関して、Peter(2000)、Clear & Dickson(2005)、Gajendran & Harrison(2007)は、自律性とは裁量権の範囲のことをいい、具体的には仕事のやり方や順番などの選択のことである。すなわち在宅勤務で求められる自律性は仕事の自律性である。また、仕事の自律性は在宅勤務をすることで増す(古川(2014)、Peter(2000))。 ②仕事の自律性の向上は、時間の使い方、仕事の手順、進め方を適切に見積もり、実施することがある能力である。それゆえ、仕事の自律性が過剰労働のおそれ、仕事と仕事以外の時間の切り分けといった在宅勤務に阻害要因を減少させる可能性があることを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究テーマは、ダイバーシティ・マネジメントの浸透である。そのひとつの手段が在宅勤務であり、在宅勤務を導入するための阻害要件を解消する方法として、企業、従業員、人的資源管理の観点から研究している。現在は、企業・従業員の側面から研究してる状況であり、人的資源管理の観点(労働時間、労働災害)から研究が進んでいない。 さらに、企業・従業員の側面を研究していけばいくほど、自律性には仕事の自律性の観点とキャリアの自律性(自身がどう働きたいのか、どのような仕事を行うのか等のキャリアプラン:自律性とは何かを研究していくうちに、在宅勤務で求めている自律性と人的資源管理で近年扱われている自律性の齟齬に気がついた。ダイバーシティ・マネジメントではキャリアの自律性は大きく求められる。)の観点があり、ダイバーシティ・マネジメントで出てくる自律性と在宅勤務で求める自律性の違いに気がつく等の面白い発見があった。また、インタビュー調査では、在宅勤務をしている従業員、制度設計をした従業員は自律性の観点や人事評価と関連させる観点で在宅勤務の制度設計や実施をしているわけではないことが分り、研究と実態の乖離が見られており、その差異にも関心を持ち始めた。
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Strategy for Future Research Activity |
在宅勤務の研究に関して、当初は法規制(労働時間管理・労働災害)の分野も視野に入れていたが、研究を進めていくうえで、在宅勤務は組織(企業)と従業員の中の課題が大きいことを認識した。したがって、現在企業と従業員に焦点を当てて研究していきたい。
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Causes of Carryover |
企業や組織にインタビュー調査を行く際に、双方のスケジュールが合わず、インタビュー調査が計画どおり実施ができなかったため、謝金・旅費相当額の予算残が生じた(自営型テレワーカーの方は、急な発注等が入るため)。 また、本年度インタビュー調査を行なった箇所は、大企業・市役所等のため謝金の受取りを辞退されたことも予算残が生じた理由でもある。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
インタビュー調査等実地調査を多く行なう予定であるが、状況に応じてアンケート調査に切り替えるなど回収割合の上がる手法にて実施する。また、アンケート調査を行なう場合、それに伴うアルバイトを雇用し、人件費に使用する。
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