2015 Fiscal Year Research-status Report
雇用型テレワーク導入におけるダイバーシティ・マネジメントの浸透・定着に関する研究
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24730323
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Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
脇 夕希子 九州産業大学, 商学部, 准教授 (90587453)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | テレワーク / 在宅勤務 / ダイバーシティ・マネジメント / 仕事の自律性 / 企業の教育訓練 |
Outline of Annual Research Achievements |
テレワークの浸透をするためには(A)従業員の自律性、(B)企業の教育訓練が必要であることを明確にした。そこで本年度は(A)従業員の自律性に関して、①在宅勤務で従業員に求められる自律性は何か、②その自律性にはどのような効果があるのかを明確にした。①については、在宅勤務で求められる自律性は仕事の自律性であることを示した。すなわち「自分で仕事を見積もることができる」、「自分で時間管理ができる」ということである。②に関してはスケジュールや仕事の手順が自身で管理できるようになるため、仕事遂行能力が向上する。そして、自分で決めたことで自分を統制するという能力が拡大することにもつながると示した。 (B)企業の教育訓練に関しては、米国で2010年に制定されたTelework Enhancement Act(以下、テレワーク増進法)において、教育訓練の項目があることを発見した。そこで、テレワーク増進法の目的とその適用範囲、トレーニング項目を概観した。テレワーク増進法の適用範囲は、執行機関(Executive Agency)である。執行機関は、①そこで働く雇用者にテレワークを行うことを認める政策を作る、②執行機関の雇用者がテレワークを行う資格があるかを判断する、③資格の有無を雇用者に通知すること、が求められている。さらに、テレワークを実施する権限が与えられたことに関する同意書を執行機関のマネジャーと雇用者の間で結ばなければならない。テレワーク増進法で明記されているトレーニングについては、参加資格のある執行機関の雇用者と全マネジャーを対象に相互作用のトレーニングを行うことが求められている。 テレワーク増進法で、教育訓練を実施しなければならないと定められていることより、実際の教育訓練の内容を入手することで、在宅勤務を行う際の教育訓練として日本でも活用できるのではないかと指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、テレワークの浸透の可能性を探ることになる。テレワークが浸透するには、(A)従業員の自律性、(B)企業の教育訓練が必要である。(A)に関しては、今年度その中身を検討した。(B)に関しては、実際にどのような教育訓練を実施しているのかを整理する必要がある。 しかし、(B)の教育訓練の内容を入手するのに困難が予想されていた。なぜなら、できる範囲のインタビューでは、在宅勤務をおこなっている日本の企業・地方公共団体では、明確な在宅勤務に関する教育訓練はしておらず、労働時間に関する取り扱い規定(就業時間は8時間、残業はしない等)がある程度であったためである。さらに、教育訓練の内容に(A)従業員の仕事の自律性を伸ばす取り組みを含んでいる日本の企業・地方公共団体はあまりみられない。多くの日本の企業・地方公共団体では従業員の自律性=キャリアの自律性ととらえ、自身がどのようなキャリア(昇進・昇格、実施したい仕事内容等)を描きたいのか、それを実現するにはどのような教育が必要かというものが多かったためである。 しかし、ハワイ大学で調査が出来たことによって、米国でテレワーク増進法が施行されていること、またその中には教育訓練の項目があることが発見できた。教育訓練に関する項目の具体的内容を見つけだすことができれば教育訓練の内容を理解することができる。その結果、テレワーク増進法の下、実施されている教育訓練の内容が日本においても適用可能なのかを論じることができる可能性がある。 以上のことより、概ね研究は順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は、テレワークの浸透の可能性を探ることである。テレワークが浸透するには、(A)従業員の自律性、(B)企業の教育訓練が必要である。したがって、テレワークが日本の企業に浸透するには、(A)と(B)の双方の現状を明らかにし、課題を指摘することである。 それゆえ、今年度行なう点は4点ある。第1は、米国のテレワーク増進法の下での教育訓練の内容を明らかにし、それが日本での援用可能性を検討することである。すなわち(B)にかかわる点ある。第2は、(A)従業員の自律性に関する質問、および今年度行なう点の一つ目である日本での援用可能な教育訓練に関する質問を導出することである。第3は、第2の(A)と(B)の質問項目を利用して、テレワークを実施している地方公共団体にアンケート調査をおこなうことである。その際は、どの程度、第2で明確にした質問内容が実施されているのか、もしくは実施されていないのかたずねる。第4は、そのアンケート調査の結果を報告することである。
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Causes of Carryover |
前年度の未使用額があるために次年度使用額欄が0より大きくなっている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、アンケート調査を行なうために、科研費を利用させていただく予定です。
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