2014 Fiscal Year Annual Research Report
中小企業の競争力強化に貢献する情報通信技術の戦略的活用モデルについての実証研究
Project/Area Number |
24730324
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Research Institution | Akita Prefectural University |
Principal Investigator |
工藤 周平 秋田県立大学, システム科学技術学部, 助教 (60549153)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 戦略的ICT活用 / ICT経営 / ICT経営効果 / 中小企業 / アンケート調査 / 企業間差異 |
Outline of Annual Research Achievements |
情報通信技術(ICT)の戦略的活用に関する取り組みやICT経営効果について、企業間の差異を分析した。まず、企業における情報システムの構築状況に応じてICTの戦略的活用の取り組みにどのような違いがあるのかを分析した。平成25年度のアンケート調査で収集した298社のデータを分析した結果、秋田県の中小企業では、生産・流通管理システムや情報系システムの適用範囲を広げることは仕入先との関係を強化するためのICT活用を促進する上で重要となり、顧客関係管理システムの適用範囲を広げることは、競争基盤を変革するためのICT活用を促進するうえで重要となることが明らかとなった。次に本研究は、産業や企業規模に応じてICT経営を促進する要因にどのような違いがあるのかを分析した。平成24年度のアンケート調査で収集した387社のデータを分析した結果、情報通信業や金融・保険業では、他の産業と比較してICT経営促進要因の水準が高いことが示された。企業規模では、従業員規模や年売上高規模が大きいほどICT経営の促進要因の水準が高いことが明らかとなった。平成24年度のアンケート調査では、ICT経営効果に関するデータも収集しており、有効回答377社のデータを用いて、産業や企業規模に応じてICT経営効果にどのような違いがあるのかを分析した。その結果、情報通信業や金融・保険業では、他の産業と比較して高いICT経営効果を獲得していることが明らかとなった。本研究では、中小企業において、情報システムの適用範囲拡大と競争力強化のためのICT活用との間に関連性があること、事業活動とICT活用の近接性や企業規模の拡大とICT経営の促進およびICT経営効果の向上との間に関連性があることを示しており、中小企業のICTの戦略的活用、ICT経営の促進、ICT経営効果の向上を実現するための重要要因を抽出している点で意義がある。
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