2012 Fiscal Year Research-status Report
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24730330
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | The University of Shimane |
Principal Investigator |
田中 恭子 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (10453200)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 企業再生 |
Research Abstract |
本研究の目的は、企業再生における国内の早期対応企業の特徴が、米国企業の再生行動にも適応可能かどうかを両国の事例を比較し明らかにすることにある。具体的には、米国企業において早期に再生行動を実施できた企業とそうではない企業を比較し、再生必要状況の認識と実際の再生行動との関連性について、両国の企業再生における認識と対応の各特徴と相違を提示し、米国と比較し危機認識も対応も遅れがちな日本企業に対する早期再生への対策を得ようとするものである。 H24年度は、米国における再生成功企業へのアンケート調査の基礎準備として、既存研究・文献・公刊資料から米国再生成功企業の再生行動について日本企業のケースと比較し整理した。再生必要状況の認識と実際の再生行動との関連性について両国の企業再生における認識と対応の特徴は、1)危機感認識の時期・契機では、米国企業は日本企業に比べ総じて再生状況の初期段階で意識できており、その契機は株式市場での評価影響が大きい。また2)組織全体としての再生対策が宣言されるまでの時間と行動段階へ移行するスピードも、組織意思決定面・法制度手続き面の双方において米国企業は機動性が高いと言える。よって再生必要状況の認識(認識時期、認識の指標)と再生の開始時期では、組織内部の意思決定と株式市場での評価に影響する可能性が高いと整理できることから、企業の再生状況認識は内部環境と外部環境の両面から検討をする必要があることが指摘できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H24年度の研究計画より進捗が「やや遅れている」理由については、既存研究および関連文献の論点を整理することに予定より時間がかかったためである。またアンケート項目の選定についても既存研究での論点が統一的ではなかったため、検討に時間を要した。以上の理由より本研究の進捗状況がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
H25年度は、アンケート調査と補足インタビュー、データ分析を行う。選出した米国企業100社に対し、質問票を郵送するアンケート調査を実施する。会社の危機を何を指標にして認識したのか、また、危機感を覚え始めた時期や契機と、組織全体としての対策が打ち出されるまでの時間、再生の成否と再生成功までに要した年数等を中心に質問項目を作成する。 補足的インタビュー調査は、質問票調査により回答のあった米国企業のうち、カテゴリー分類を行い、各分類の代表的な企業に対して補足的にインタビュー調査を実施する。 データ分析では、米国企業の再生認識と対応の特徴を提示し、田中(2010)での日本国内の企業再生における早期対応企業の特徴と比較検討を行う。その際に、再生認識の日米企業での相違が生じる制度的環境について論じた田中(2007)の発見事実を基に、とりわけ両国の市場特性と組織特性は再生認識と再生行動について十分に影響しうると判断し、比較の際に企業再生法制度の相違、CEO人材市場、企業統治、金融市場からそれぞれ比較することとする。 以上の調査結果から、企業再生に対する早期認識と早期対応の日米両国の特徴を明らかにし、再生対応が比較的早期に行われる米国企業の再生行動について分析することで、日本企業に見受けられる慢性的な赤字経営状況に陥りやすい経営上の原因およびその対策についての含意が得られると予想している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
H24年度は60万円の内40万円を執行し、残額20万円を今年度の繰り越し費用としている。これは既存研究での論点整理とアンケート項目の選定に時間を要したため計画に遅れが生じ、予算を執行できなかったためである。よって25年度分予算80万円と合わせて100万円を25年度予算とする。この費用の大部分を①アンケート調査に充当する予定である。以下25年度の研究費使用計画である。 次年25年度の研究費使用計画としては、米国企業へのアンケート調査とともに補足インタビューおよびデータ分析を実施する予定である。よって研究費の費目としては、①アンケート調査費用(消耗品費:封筒等文房具・印刷・郵送等、人件費:作業補佐、設備備品費:図書文献等)、同様に②インタビュー調査のための(海外旅費:北米渡航費、人件費:現地コーディネーター謝金、テープ起こし等)となる。以上の調査活動を経て獲得した③データ分析のために(設備備品費:統計ソフト購入費等)を計画している。また④成果報告のために(旅費:国内)も予定している。
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