2013 Fiscal Year Research-status Report
東日本大震災における企業の社会的責任と被災企業の復興過程に関する研究
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24730332
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
矢口 義教 東北学院大学, 経営学部, 准教授 (30537288)
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Keywords | 東日本大震災 / 企業の社会性 / 企業の社会的責任 / 共通価値創造 |
Research Abstract |
2013年度には、被災地域の調査および文献(新聞、雑誌、書籍、英字論文など)に基づき、震災と企業のCSR活動について研究を進めてきた。また、これに関する学会報告や論文執筆も行い、つねに成果の発表を心掛けてきた。そして、何よりも、科研費の交付から2年、震災から3年を期することも含めて、研究成果を著書(単著)として発表するに至った。それが、『震災と企業の社会性・CSR-東日本大震災における企業活動とCSR-』(創成社刊)であり、震災時における企業のCSRの重要性を改めて問うことができたと考えている。以下では、これら研究成果について概要を確認する形で、研究実績の概要としたいと考えている。 まず、学会報告では、東北経済学会(大会)および生活経済学会(東北部会)では、ケース・スタディに基づき、震災と企業の行動をCSRや社会性に焦点を当てて研究報告を行った。とくに、被災地域に本社を置き、当該企業自らも被災しながらも震災時の緊急時・復旧時・復興に向かっている宮城県の地元企業(被災地企業)の活動を学術的に考察した。発表した論文は、CSRの国際潮流に関するものであり、なぜこのようなテーマで研究論文を発表したのかというと、震災時における企業のCSR活動が国際的にどのような意味を持つのかを明らかにするために行ったからである。 そして、最後に上記の著作では、CSRの本質、社会性とは何か、を徹底的に整理し、また震災とCSRに関する先行研究レビューを行ったうえで、震災時の企業活動について体系的に考察した。この結果として、企業の事業には元来社会性が具備されており、特別な取組みのみがCSRでないことを指摘した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
上記にも述べたように、『震災と企業の社会性・CSR-東日本大震災における企業活動とCSR-』(創成社刊)という単著を青果として発表できたことが大きいと考えている。当初は、3年間の研究の集大成という形での出版を考えていたが、2年間で単著の出版が可能になるまでに研究を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の課題としては、被災地域の全体を見据えた考察、産業全体を俯瞰する考察が必要になると考えている。これまでの私の研究は、所属研究機関がある宮城県の状況のみを考察してきたため、福島や岩手といった被災地全般を含めた状況を把握しきれているわけではないからである。それゆえ、東日本大震災の被災地全般において、企業と社会性について考察しきれてはいないのである。また、2年間の考察では、情報収集の関係上、産業を体系的に考察できてもいない。とくに、金融機関や建設、小売などの分野での考察が不足していると考えている。今後は、これらの点を補うように研究を進めていく予定である。
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Research Products
(4 results)