2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730335
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Research Institution | Toyo Gakuen University |
Principal Investigator |
菅野 洋介 東洋学園大学, 現代経営学部, 講師 (00579980)
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Keywords | デザイン・マネジメント / 製品デザイン / 組織設計 / 製品開発プロセス |
Research Abstract |
本研究の目的は、企業における製品の根本的な差別化と競争優位の創出に貢献するような優れたデザインを創出するための組織的要件を明らかにすることである。とりわけ、先進性や革新性の高いデザインの創出を促す、組織構造と開発プロセスの設計における重要な要件とメカニズムを解明することを目的としている。 今年度は、昨年度に引き続き、デザイン・マネジメントに関わる既存研究のレビューを丹念に行うことで、既存研究の課題を再度整理しなおした。また、昨年度に実施した事例調査の結果と併せて、製品デザインに関わる組織構造や開発プロセスにおける説明変数の抽出を行った。そして、これらの成果をもとにデザイン・マネジメントに関わるアンケート調査を実施し、日本企業に加え、韓国企業に対しても調査を行った。 本研究では、以上の調査結果を踏まえ、デザイン部門と他部門の部門間調整のあり方が、デザイン・アウトプットに及ぼす影響を分析するとともに、デザインに関わる戦略、組織構造、デザイン部門の権限などの組織要因が、デザイン部門と他部門の部門間調整のあり方に及ぼす影響を分析した。これらの分析を通じて、デザイン・アウトプットを向上させるためには、デザイン部門と他部門の統合が図られているとともに、デザイン部門の妥協や譲歩を低減させる必要性を示唆することができた。また、デザインに関わる組織要因では、デザインが内包する柔軟性・多義性・主観性・暗黙性などの性質が重要な影響を及ぼす可能性を示唆することができた。これらの研究成果には、既存研究では着目されてこなかった新たな発見が含まれているとともに、デザインの性質にもとづいて組織やプロセスのメカニズムを解明できたという点においても、重要な発見が含まれているものと考える。 研究成果は、海外の学会において報告するとともに、国内外の学術雑誌に論文として掲載されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年目の研究計画では、既存研究レビューの成果にもとづいた事例調査を実施し、それらの結果を踏まえて、アンケート調査を実施するための説明変数を抽出することを目標としていた。 それに対して、今年度は、既存研究レビューと事例調査をほぼ計画通りに進行させ、説明変数の抽出を概ね終了させることができた。また、抽出した説明変数にもとづいてアンケート調査項目の設計を行い、日本と韓国のグッドデザイン賞受賞企業約200社に対して、アンケート調査を実施し、約80社より回答を収集することができた。さらに、収集したこれらのデータにもとづき、製品デザインに関わる組織要因、デザイン部門と他部門の部門間調整、デザイン・アウトプット、それぞれの関係を計量的に分析し、学会報告と論文掲載も果たすことができた。 以上より、本研究は、当初の研究計画にもとづいて進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる次年度は、事例調査やアンケート調査を通じてこれまで収集したデータを再度整理・分析することで、本研究の最終成果をまとめる予定である。 研究内容としては、製品開発プロセスに対するデザイン部門の関与の仕方が、デザイン・アウトプットに及ぼす影響を明らかにしていくとともに、それがどのような組織要因の影響を受けるのかを明らかにしていく。具体的には、製品開発プロセスの川上から川下まで、デザイン部門が一貫して関与する場合、デザイン・アウトプットにはどのような影響を及ぼすのか、を明らかにする。また、製品開発プロセスの中で、デザイン部門が参加することで効果が高まるのは、特にどの段階なのかも明らかにしていく。さらに、デザイン部門による参加の効果は、産業や製品の特性によってどのように異なるのかも明らかにしていく。 本研究では、これらの分析を通じた研究成果と、今年度までの研究成果を踏まえ、製品デザインに関わる組織構造や開発プロセスにおける重要な要件を特定するとともに、その背後にあるメカニズムを解明して、研究成果として取りまとめる予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
国内での学会発表を行う計画であったが、研究計画の進捗や日程調整の都合により、次年度に延期した。そのため、国内での学会発表に充当する予定であった旅費等が未使用となった。 次年度に延期した国内での学会発表を行うことが決定しており、繰り越した費用はその旅費や参加費に充当する予定である。
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Research Products
(10 results)