2012 Fiscal Year Research-status Report
東アジアにおける個人の自律的キャリア意識と組織の人材開発施策の統合モデル
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24730340
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
鄭 有希 明治大学, 経営学研究科, 講師 (00468828)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 国際研究者交流、イギリス、カーディフ大学 / 国際研究者交流、イギリス、 サセックス 大学 / 国際情報交換、アメリカ、テンプル大学 |
Research Abstract |
2012年度4月から現在受けている若手研究(B)では、「競争と庇護の社会的移動(Turner, 1960)」を理論的支柱とし、主観的キャリア成功に対する個人要因(キャリア計画)と社会的支援要因(人材開発投資に対する対する従業員知覚)との交互作用効果を検討することにより、主観的キャリア成功の先行要因(i.e., 個人要因vs.社会的支援要因)における議論に対して理論的・実証的な貢献を与えることを目指した。さらに、「バウンダリレス・キャリア(boundaryless career theory, Arthur & Rousseau, 1996)」の観点から、男女間の主観的キャリア成功に対する個人要因と社会的支援要因との交互作用効果を「比較」検討することにより、従来のキャリア研究を進展させることを試みた。なお、本研究の一部は、“Academy of Management (AOM)”の第72回国際会議(2012年8月・米国、ボストン)で発表され、Best Paper Proceedingsとして選ばれ、また7月“Association of Japanese Business Studies” 第25回国際学会(2012年7月・米国、ワシントンDC)ではBest Paper Awardを受賞した。加えて、人的資源管理の研究分野では著名な学術誌であるInternational Journal of Human Resource Management誌、及び日本国内では最も権威のある雑誌の1つ『日本経営学会誌』にも論文を掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、(1) 個人のキャリア自己管理(個人レベル要因)が、主観的キャリア成功にどのような影響を与えているか、(2) 主観的キャリア成功を促す人的資源管理施策(組織レベル要因)とはどのようなものであるか、(3) 個人と組織レベル要因との交互作用効果は主観的キャリア成功にどのような影響を与えているか、及び (4) (2) で特定化された「主観的キャリア成功を促す人的資源管理施策」は、実際にどの程度客観的キャリア成功に影響を与えているかを、日本と韓国の比較視点から研究を進め、東アジアにおいて主観的キャリア成功を促進する人的資源管理施策の特定化とその効果測定を縦断的調査デザインに基づいて時系列的データ分析を行うことを研究の目的としている。 先ず、上記の(1)を実証的に検討するために、日本と韓国の民間企業に勤めている2000人の従業員を対象に質問紙調査を行い、1600名から有効な回答が得られた。得られたデータの階層的重回帰分析を行った結果、キャリア志向に対する日韓の差が明らかになった。現在、(1)で得られた結果に基づき、(2)を検討するために、(1)で調査対象になった従業員が勤めている会社のマネジャー・人事担当者への質問紙調査の実施を進めている。今までの研究は、英語で論文化し、国内・海外の重要学会で報告する予定である。すでに、2013年度6月、ヨーロッパ経営学会(European Academy of Management)、7月、日本ビジネス研究学会(Association of Japanese Business Studies)、及び 9月、イギリス経営学会(British Academy of Management)に投稿した論文がすべて受理され、研究発表が予定されている。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の研究目的((2)~(4))を総合的に日本と韓国の文脈に適用し、比較検討を行うためには、マクロ(日韓の雇用失業情勢)及びミクロ(日韓において実施されている人的資源管理施策)の両観点から、日本と韓国における全般的なキャリア志向の傾向を理解する必要がある。特に、日本と韓国の従業員の間で検証されたキャリア志向に対する相違点をより厳密に考察するために、従来の文献研究及び2ヶ国における聞き取り調査(人事担当者、従業員)を通して、日本と韓国におけるバウンダリーレス・キャリアの程度が仮説化され、実証的比較分析が実施される予定である。ついで、その結果をもとに、日韓における主観的キャリア成功に対する個人要因(キャリア計画及びキャリア自己管理)と組織要因(人材育成施策、キャリア開発施策)の主効果及び交互作用効果が「計画的行動理論」と「計画的偶発生理論」の観点から、仮説化され、検討される予定である。 具体的に、マルチ・レベルによる①従業員(キャリア志向、態度、行動、キャリアに 対する満足感及び成功感など)②人事担当者(人的資源管理の施策に対する全般的内容およびキャリア開発施策や人材育成施策など)を対象にアンケート調査を実施を時系列の方法によって実施する予定である。従業員を対象にする1次の質問紙調査は既に行われた。2次調査(2013年6月予定)は、従業員と人事担当者(人的資源管理の施策に対する全般的内容およびキャリア開発施策や人材育成施策など)を対象にアンケート調査を実施される予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度では、2回の質問紙調査、データ分析、論文化及び結果報告を予定している。 1. 質問紙調査の収集データの分析:第2次から第3次までの複数の調査データを統合する形の時系列データを用いて分析(①消耗品費(250,000円)-統計ソフト(Mplus)、②人件費(70,000円)-データ入力) 2. 論文化及び成果報告:①成果は随時、英語・日本語・韓国語で執筆、②国内・海外の重要学会で報告(国外旅費(400,000円)-2013年6月、ヨーロッパー経営学会(European Academy of Management)、同年度の7月、日本ビジネス研究学会(Association of Japanese Business Studies)、9月、イギリス経営学会(British Academy of Management)での発表) 3.関連分野の海外ジャーナルへの投稿(校正・翻訳・出版など-50,000円):Journal of Mangement, Journal of Organizational Behavior, Personnel Psychologyなど
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