2013 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける個人の自律的キャリア意識と組織の人材開発施策の統合モデル
Project/Area Number |
24730340
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
鄭 有希 立命館大学, 経営学部, 准教授 (00468828)
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Keywords | 主観的キャリア成功 / キャリア自己管理 |
Research Abstract |
本研究では、個人のキャリア自己管理が、主観的キャリア成功にどのような影響を与えているか、主観的キャリア成功を促す組織要因とはどのようなものであるか、個人と組織レベル要因との交互作用効果は主観的キャリア成功にどのような影響を与えているかを、日本と韓国の比較視点から研究を進め、東アジアにおいて主観的キャリア成功を促進する個人・組織要因の特定化とその効果測定を行うことを研究の目的とした。 先ず、組織内における縦断的キャリア志向が強い日本に比べて、韓国は組織間での横断的なキャリア志向が強い点に着目し、主観的キャリア成功に対する個人要因(キャリア計画)と組織要因(組織サポート知覚)との交互作用効果が日本と韓国の企業に勤めている従業員の間で異なることを主な作業仮説として設定した。この仮説を検証するために、質問紙調査法に基づく調査デザインが採用され、日本と韓国の民間企業の従業員から有効回答を得た。得られたデータの階層的重回帰分析の実施より、主観的キャリア成功に対するキャリア計画、組織支援知覚、日韓の国籍の有意な正の交互作用効果が検証された。具体的に、韓国の企業で勤めている従業員の場合、明確なキャリア計画と主観的キャリア成功との正の関係がより強まることに対して、日本の企業では、組織支援知覚と主観的キャリア成功との正の関係が検証された。この結果は、縦断的キャリア志向が強い日本の企業では、組織からのサポートが従業員の主観的キャリア成功感を高めることが示唆され、一方、組織横断的キャリア志向である韓国企業の従業員の場合、具体的な個人のキャリア計画が彼らのキャリア成功感に対して直接的な影響を及ぼしていることが示唆される。本研究の一部は、経営学で最も権威のある“British Academy of Management”の国際会議(2013年9月・英国、リバプール)で発表されたことを付記する。
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