2014 Fiscal Year Research-status Report
日本発ソーシャルメディアのビジネスモデルの進化プロセスに関する研究
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24730344
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Research Institution | Osaka University of Economics |
Principal Investigator |
足代 訓史 大阪経済大学, 経営学部, 講師 (40583258)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ビジネスモデル / ビジネスシステム / 行為システム / テキストマイニング / ソーシャルメディア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本発ソーシャルメディアのビジネスモデルの進化のメカニズムを明らかにすることにある。そのため、理論的研究としてビジネスモデル論と行為システム分析に関する研究を、事例研究に関しては国内のソーシャルメディア事業者3社に関する調査を進めている。平成26年度においてはそれぞれ下記の通り研究を進めた。 ビジネスモデル論に関しては、欧米を中心としたビジネスモデル論のレビュー論文で提出された研究課題に、日本発のビジネスモデル論ならびに関連研究であるビジネスシステム論(事業システム論)の論点を統合して、理論的課題の整理をおこなった。この整理は、昨年取りまとめた成果(所属機関発行のWorking Paper)の見直しとアップデートを兼ねておこない、成果を研究代表者の所属機関が発行する『大阪経大論集』に取りまとめた。 行為システム分析に関しては、既存の議論の整理を進めつつ、企業家の失敗からの学習と事業の立て直しという側面に新たに着目して理論の整理と事例研究をおこなった(この事例研究は、理論の整理と課題の抽出に着目しておこなったもののため、直接の分析対象はソーシャルメディアではない)。この成果は、日本ベンチャー学会第17回全国大会において報告をおこなった。 事例研究に関しては、これまでデータベース化をおこなってきた分析対象3社(グリー株式会社、株式会社ディー・エヌ・エー、株式会社ミクシィ)のIR資料や新聞・雑誌記事に加え、当該3社のプレスリリースに関してもデータベース化をおこなった。プレスリリースには、ビジネスモデルや経営戦略の焦点が記述されることが多いためである。事例研究に関しては、次年度に上記の理論的研究の成果と本年度作成したデータベースを基に統合的分析をおこない、事例研究論文を執筆する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究課題の解明に接近するための平成26年度中の目標は概ね以下の通りであった。まず、(1)事例研究論文を執筆することで事例分析各社のビジネスモデルの進化メカニズムを提示すること、次に、(2)テキストマイニングを用いた行為システム分析の信頼性の自己点検をおこなうこと、である。 (1)に関しては、理論的研究の論文を執筆することで事例研究のフレームワーク構築の準備には至ったが、実際の事例分析には到達しなかった。(2)は、事例研究のデータベース整備を進める中で検討をおこなっており、概ね順調に進行している。以上、上記2つの進捗を合わせ、本年度の自己評価を「(3)やや遅れている」としたい。遅れている主な理由としては、事例分析対象データベースに新たな分析対象(対象各社のプレスリリース)を加えたことで事例研究が遅れていることがあげられる。 上記の進捗を踏まえ、補助事業期間を1年間延長して頂いたため、最終年度となる平成27年度中には、上記の目標(特に(1))に沿う研究業績を執筆、公開したい。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間を1年延長して頂いたことにより、平成27年度が最終年度になる。研究計画としては、平成26年度中に実施予定であったものを、平成27年度に延長し、実施していく。 具体的にはまず、前年度までの研究成果ならびに整備した各種データベースを踏まえ、統合的分析の成果としての事例研究論文を学術論文誌等に投稿していく予定である。統合的分析の中心となるのは、対象事例の行為システム分析の完成と、事例研究を通じたビジネスモデル理論に関する分析枠組みの精緻化ならびに理論的貢献の明確化である。 加えて、本研究の中心的な方法論であるテキストマイニングを用いた行為システム分析の信頼性の自己点検も実施する。そして、各種研究成果の中身を批判的に検討することで、本研究の限界の把握と今後の研究課題の整理を進める予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に海外や国内での学会発表をおこなう予定であったが、所属機関の学務のスケジュールの関係上、参加を見合わせた。そのため、旅費として計上していた経費に未使用額が発生した。また、テキストマイニング分析のデータベース整備にかかる謝金・人件費を計上していたが、整備の一定部分を研究代表者個人でおこなったため、当該費用にも未使用額が発生した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降に請求する研究費の主な使用目的は、物品費(書籍など)、旅費(国内外学会出張ならびに共著論文共同執筆者との打ち合わせのための出張など)、人件費・謝金またはその他(英語論文執筆のための翻訳・校閲費用など)である。なお、学務のスケジュールの関係上、国内外での学会発表を、論文執筆に資する費用に振り替える可能性もある。
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