2012 Fiscal Year Research-status Report
企業内訓練校における現場人材活用型能力開発システムの研究
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24730358
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Research Institution | Tsu City College |
Principal Investigator |
島内 高太 三重短期大学, その他部局等, 准教授 (30450034)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 人材育成 |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本自動車産業の競争力基盤の役割を果たしてきた企業内訓練校が、その人材育成の効果を高めるために構築してきた「現場人材活用型能力開発」の実態を解明することにあり、平成24年度には、研究仮説の精緻化とヒアリング調査による検証を進めた。 研究代表者の仮説は次の3点である。①日本企業は現役の中核技能者の一部を一定期間、訓練校に配置転換して指導員として活用し人材育成効果を高めている。②その仕組みを通じて、現場に即した実践的能力開発と現場中核技能者との交流を通じた訓練生の企業人意識の向上という効果を追求している。③この仕組みは日本的経営の核である長期安定雇用と適合的であり、雇用の短期流動化により機能が失われる可能性がある。 平成24年度は、関連文献の調査を行いながら研究仮説③に関する論説を発表した。また、愛知県の自動車関連企業2社の訓練校へのヒアリング調査を行いケースレコードの作成を行った。平成24年度の調査研究から確認できた点を以下に記す。 (1)「現場人材活用型能力開発」の存在、その仕組みが目指す人材育成効果、そしてその仕組みと雇用の短期流動化との不適合への懸念など、本研究の仮説について、ヒアリング調査企業においても大よそ当てはまることが確認された。(2)また、文献調査とヒアリング調査から、「現場人材活用型能力開発」システムは国内で構築されてきたものであり、海外生産の拡大と現場の多様化への対応が新たな課題となっていることが明らかになった。この点を踏まえて仮説を精緻化したい。 平成24年度の研究を通して、日本的経営の競争力基盤である企業内訓練校の存在意義を雇用の短期流動化のみならず、経営のグローバル化との関連で検証する用意ができたと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の目的は、日本自動車産業の競争力基盤の役割を果たしてきた企業内訓練校が、その人材育成の効果を高めるために構築してきた「現場人材活用型能力開発」の実態を解明することにあり、そのために、3つの研究仮説をヒアリング調査に基づいて検証する計画である。 この点についていえば、平成24年度にヒアリング調査を行った企業2社の実態は、おおよそ仮説を支持するものであった。仮説検証のサイクルを順調に回し始めることができたと言える。 しかし、現在までの達成度は「やや遅れている」と自己評価したい。その理由は、当初のヒアリング実施計画(自動車関連企業3~4社、および比較対象として家電メーカー1社)を達成することができなかったことにある。 仮説検証の範囲という意味で調査研究はやや遅れている。平成25年度はこの点を特に改善したい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は、実施計画通りにヒアリング調査を進めることができなかった。その原因は、調査依頼範囲を狭くとったために、ヒアリング調査協力企業を2社しか探すことができなかったことにある。 本研究は研究仮説をヒアリング調査で検証するタイプの課題であるため、一定の広がりと深さのある情報を提供してくれる企業の存在が研究推進にとっての前提となる。 本研究の実施計画では、1年目に4~5社、2年目に2社、合計6~7社へのヒアリング調査を計画している。平成24年度は2社の実施であったため、平成25年度は最低4社のヒアリング調査を実施したい。 そのためには、調査依頼範囲を広めにとり、ヒアリング調査協力企業を見つけられるように努力する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度の研究費の残額のほとんどは旅費である。これは、予定通りにヒアリング調査を実施できなかったことが原因である。 平成25年度は、平成24年度の旅費残高と平成25年度の助成金(旅費分)を利用して、推進方策に述べたように最低4社に対するヒアリング調査を進めたい。 調査先については、当初の実施計画に沿って、愛知県(自動車関連企業)、大阪府(家電メーカー)、東京都(自動車関連企業)、広島県(自動車関連企業)を予定している。 また、最終年度であるため、学会・研究会等での発表でも旅費を使用したい。
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Research Products
(1 results)