2013 Fiscal Year Annual Research Report
企業内訓練校における現場人材活用型能力開発システムの研究
Project/Area Number |
24730358
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
島内 高太 拓殖大学, 商学部, 准教授 (30450034)
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Keywords | 人材育成 / 企業内教育訓練 / 企業内訓練校 / 製造現場 / 自動車産業 / 競争力 / 日本的経営 |
Research Abstract |
本研究では、日本自動車産業の競争力基盤となってきた企業内訓練校が、効果的人材育成のために構築してきた「現場人材活用型能力開発」の実態を解明するため、3つの仮説の検証を試みた。 仮説①日本企業は現役の中核技能者を一定期間、製造現場から訓練校に配置転換して指導員として活用する。②その仕組みを通じて、現場に即した実践的能力開発、そして現場人材と訓練生の交流を通じた企業人意識の向上が実現される。③この仕組みは日本的経営の核である長期安定雇用と適合的で、1990年代後半以降の雇用の短期流動化により機能が失われる可能性がある。 本研究では上記仮説を検証するために、自動車関連企業(完成車及び部品メーカー)8社に対するヒアリング調査(平成24年度2社、平成25年度6社)によって情報収集し、研究代表者が平成23年度までに収集した6社のデータと統合して合計14社に関する分析を行い、以下の結果を得た。 仮説①については、14社中10社の訓練校において「現場人材活用型能力開発」による実践的能力開発と効果的企業人育成が行われていることが確認された。また仮説②については、訓練生育成上の効果に加えて、指導員経験を通じた現場人材の成長効果の存在を明らかにできた。 さらに仮説③については、配置転換の対象になる人材は訓練校でも現場でも重宝される優秀な人材であるため実際には配置転換は容易ではなく、1990年代後半以降の「正規雇用の縮小と非正規雇用の活用拡大」を背景とする現場の多忙化・流動化により、訓練校に対する中核人材の配置転換に消極的になる現場が増加したことを明らかにした。 以上のように、研究期間内に研究仮説を支持する結果と新知見を得ることができ、自動車産業の競争力研究や日本的経営研究の深化に一定の貢献ができた。また、論文2本(24年度1本、25年度1本)と学会発表3件の研究成果をあげることができた。
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Research Products
(4 results)