2012 Fiscal Year Research-status Report
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24730361
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
ウィラワン ドニ ダハナ 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 講師 (90432426)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 消費者行動 / オンライン店舗 / 情報探索 / 購買生起 / 予測モデル |
Research Abstract |
本研究の目的はインターネット上のショッピングサイト、いわゆるオンライン店舗における顧客の購買行動に影響する諸要因を明確にし、将来の購買を予測するためのモデルを構築することにある。具体的には、顧客がオンライン店舗で買い物をする際に、購買決定に影響を与えると想定する諸要因、つまり製品要因、市場要因、個人要因、状況要因を明確にし、それらの要因が購買決定に与える影響を検証する。また、これらの要因の影響を明確にした上で、消費者のオンライン店舗の利用状況に関するデータを用いて、将来の消費者の購買行動を予測する。 平成24年度では上記の目的を達成するために2つの研究を実施した。1つは、売り手が提示する参照情報がオンライン店舗で買い物する消費者の購買効率性と満足度にどのような影響を与えるかについて調べた。本研究では学部生を対象にオンライン店舗で模擬購買の実験を実施した。対象者には参照情報を提示されるグループと提示されないグループに分かれ、設定した購買課題に取り組んでもらった。本研究では、提示した参照情報によってグループ間で購買にかかる時間と購入した商品への評価の違いがあるかどうかを検証した。実験の結果から、参照情報を受けたグループは、受けないグループに比べて買い物時間が長いことが分かった。購入した商品に対する評価については両グループの間に有意な差がないことを確認した。また、購買行動に対する個人要因の影響も部分的に確認した。もう1つの研究では、消費者の情報探索目的と購買行動に関する研究である。この研究の目的は情報探索の目的の特定化を行い、探索目的と購買行動の関係を探求することである。研究方法としては、情報探索の目的を考慮した購買モデルを構築し、顧客のアクセスデータと購買データにモデルを適用し、想定している要因の効果を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、オンライン店舗における消費者の購買行動を予測するためのモデル構築に向けて、まずはインターネット上において消費者がどのような買い物行動を行っているか、それに影響を与える要因は何か、それらを明らかにするために2つ研究を実施した。その点では、研究目的の達成度は順調に進展していると判断できる。研究実績の概要にも述べているように、実施した参照情報の効果に関する研究では売り手が提示する製品情報がオンライン店舗における消費者の購買プロセスと購買への評価に対してどのように影響するかについて検証を行った。また、性別や製品知識や経験といった消費者の特性によって上述の効果はどのように変化するかについても分析を行った。ただし、本研究ではサンプル数が限られており、対象者も学部生ということもあり、得られた知見を一般化するためにはサンプル数を増やし、異なった特性をもつ対象者に対して同一の実験を実施する必要があると考えられる。 消費者の購買行動を予測するには購買前の情報探索行動を調べる必要があると考えた。そこで、2つ目の研究ではオンライン店舗における消費者の探索目的と特性を調べ、購買発生との関係性について分析を行った。本研究では、まず情報探索の目的を説明できるような要因を調べた。具体的には、ネットショップでの滞在時間、閲覧ページ数、探索するアイテム数などの変数の効果をモデル化し、実際の買い物履歴データを用いて計量的に分析した。分析の結果から、情報探索の目的によって購買が発生する確率が変わり、また情報探索の目的はいくつかの行動変数によって説明できることが分かった。購入意図をもっている消費者が情報探索を行う場合、購買が発生する確率が高く、逆に購買以外の目的で店舗に訪問した場合、購買確率が小さい。また、消費者のページ閲覧行動から消費者がどのような目的で店舗に訪問したかをある程度予測することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度では、オンライン店舗における消費者の購買行動を予測ためのモデルの構築、実証分析およびモデルの検証を行う。今年度の研究成果を利用して、オンライン店舗における消費者の将来の行動を予測するための数理的なモデルの考案から次年度の研究プロジェクトをスタートさせる。次の段階では、考案した複数のモデルをオンライン店舗での実際の買い物データに適用し、モデルの有効性を検証する。モデルの検証では分析結果の一般性が得られるようにできるだけ幅広い製品カテゴリーにわたって分析を行う予定である。 提案モデルの具体的な内容としては、消費者が来店する際に行う情報探索行動(ページ閲覧行動)から、来店の目的を特定化し、次回いつ来店するか、来店する際に購買をするかどうか、どのような製品を購買するかといった行動を予測するための枠組みを構築する。また、消費者の特性の違いを考慮して、消費者の異質性が購買行動に与える影響を分析する。次に、これらの分析で得られる知見をオンライン・ビジネスのマーケティング施策の改善にどのように活かすことができるか、研究のマネジリアル・インプリケーションを立案し、実務者にも有益な研究成果を出せるように目指したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度では、主に研究成果の報告の目的で研究費を使用する計画である。優れた研究成果が得られるように国内外の学会やワークショップなどたくさんの場で研究成果を紹介し、同じ分野で活躍している専門家と意見交換を行い、研究の改善に情報収集を行う。そのため、研究報告のための旅費が大きな割合を占めることになると見ている。またその他に、データの前処理、分析に用いる計算ソフトのプログラミング、計算結果の整理といった研究補助のために人件費が発生すると見込んでいる。残りの金額は研究成果を学術雑誌に投稿する際に発生する諸費用の支払いに利用する。 なお、研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため、平成24年度当初 の見込み額と執行額は異なったが、研究計画に変更はなく、当初の予定通りの研究を進めていく。当該年度の残額51,466円は2013年ICBI学会の参加諸経費にあてる予定で ある。
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Research Products
(4 results)
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[Presentation] 参照の効果に関する実験2012
Author(s)
青山温子, フェラニサ プラウィタ ララス, 田中克明, ウィラワン ドニ ダハナ,中島望
Organizer
日本マーケティング・サイエンス学会第91回大会
Place of Presentation
株式会社電通
Year and Date
20121208-20121209
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