2013 Fiscal Year Research-status Report
食品の情報品質が消費者行動に与える影響に関する研究
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24730363
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
森 邦恵 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (10360893)
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Keywords | 消費者行動 / 品質の経済的評価 |
Research Abstract |
水産物を対象とし、コンジョイント分析等を用いて財の持つ品質の評価額を導出する本研究では、財の品質をどのような形に分解するかが大きなポイントとなってくる。さらに、消費者がどのような性質なのかを明らかにすることも、実際の消費行動を説明する為に必要である。この点について明らかにするため、今年度は消費者行動のタイプを理論的に整理した。 水産物に関していえば、申請者が実施した過去の調査含め既存研究の多くでも、消費者に重要視されている品質は「鮮度」「価格」という回答が多い。 ここで、伝統的な経済学に沿えば、合理的な経済人である消費者は、例えば水産物の「鮮度」という品質について情報の非対称性は生じたとしても、知りうる限りでの財の品質の情報で判断し、その効用は財の量に帰着する。一方、ヘドニック・アプローチによる理論では、財の品質量自体に消費者の効用は帰着しており、個々の品質が直接評価されている。この場合では、評価額がゼロの品質は消費者から評価されていないと考えることができる。 しかし、そもそも財が持つ多くの品質を消費者が判断できているだろうか。行動経済学の考え方を援用すれば、消費者が「自らにとって都合のよい」品質の情報だけを取得しようとし、その他の品質については無視されている可能性がある。このことは、水産物に対して「鮮度」「価格」という誰が見ても数値的に評価できる品質を重要視していることと関係性があると想定される。 もしこの仮説が支持されるなら、生産者が「(生産者が考える)良い品質は消費者に理解される」とコストをかけて商品を作ることは少なくとも短期的には効率的ではないように思われる。次年度はアンケート調査によって、上記の点を説明する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請時において予定されていなかった研究プロジェクト(農林水産省技術会議『食料生産地域再生のための先端技術展開事業』網羅型研究課題2、「サケ科魚類養殖業の安定化、省コスト・効率化のための実証研究」研究グループ・分担者)へ平成25年度から参加することとなった。 本研究はサケに限らず水産物全体の消費者行動を対象にしているため、上記プロジェクトとは内容が異なるが、養殖サケ生産者や流通業者へのヒアリングなど本研究では予算化されていない調査を行うことができ、その内容は本研究にも示唆を与えるものが多い。 本研究における実証分析の補強材料となることを判断し、アンケート項目の精査を時間をかけて慎重に行ったため、アンケート調査が来年度に持ち越されたがおおむね想定内と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アンケート調査の調査設計について迅速に対応し、研究を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
アンケート調査における項目設定の精査に時間がかかり、25年度中に実施を行うことが出来なかったため。 アンケート調査に80万円、その他旅費に30万円、書籍・資料購入に10万円を予定している。
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Research Products
(1 results)