2012 Fiscal Year Research-status Report
サービス、営業、販売職に就く人々のパフォーマンスを向上する組織のダイナミクス
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24730371
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
福冨 言 京都産業大学, 経営学部, 准教授 (80387993)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 販売管理 / 販売員管理 / サービス業 |
Research Abstract |
顧客と直に接する立場にあるフロントラインの従業員のパフォーマンスを向上するメカニズムを解明する、という研究計画に基づき、数度の調査を実施し、従業員個人のデータを合計で2,500サンプルほど収集し、定量的な分析をおこなった。また、調査項目の精緻化や調査協力者との関係構築などを目的に、販売やサービスの事業者を対象として、定性的な比較研究・事例研究をおこなった。 これまでは、複数回実施された調査を個別に、また、注目する変数を特定して分析をおこなっている。たとえば、2,500サンプルのうち、第1回調査によって集められた550以上のフロントライン従業員のデータを用いた分析結果を取り上げると、個人の変革を促すリーダーと組織内における準拠集団の影響力を比較したところ、従業員の販売・サービス提供活動に望ましい影響をもつのは準拠集団のうち、組織内のロールモデルであることを検証した。また、この550サンプルを含む、販売やサービス事業者に勤める従業員、およそ1,500サンプルを対象に組織内のコンフリクトと組織に対するロイヤルティの分析をおこなうなどした。分析結果の一例として、向かうべき将来を説明するリーダーよりも、実行する姿やロールモデルとしての姿が、従業員のロイヤルティに対して有意な影響力をもつことが挙げられる。 これらの成果の発表について。当年度、海外学会において七度(個人の研究成果として二度、共同での成果発表に参画するかたちで五度)、国内学会において共同の名義による三度の成果発表をおこなった。また、英文の紀要を1篇、共著書を2冊上梓した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度の計画では、事業者からの調査協力と調査会社の送付先リストを用いて、合計400サンプルの収集を目標にしていた。幸いなことに実際は、複数の事業者からの協力が得られ、またそれが全社的に取り組みとなったことや、本研究成果を発表する機会を他の研究者や実務家から得られたことにより、量だけを見れば、計画を大幅に上回るデータを収集することができた。ただし、断片的に収集されたデータを断片的に分析をしているのが現状であり、質的には計画通りの進行といえる。計画どおり、複数回の調査結果を統合・比較するプロセスに今後着手する。 成果の発表についても、計画時には海外発表を二度予定しているだけであったが、投稿した論文や要旨が無事にアクセプトされ、予想以上の実績を達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに複数回実施された調査の統合と比較のプロセスに移る。また、調査結果のフィードバックを次年度始めに予定しているので、調査協力者とのディスカッションによって、実務的にもより有意義な研究となるよう、分析項目の選別をおこなう。統合と比較においては、既に業種分類や職務内容、デモグラフィクスによる分類が可能な状態にあるので、特定の仮説をプロフィールの異なるサンプルを対象に検証することによって、外的妥当性を高めることが基本的な作業である。予算に基づき、次年度は新たにデータを収集することよりも、既に収集されたデータの整理と成果発表(およびそのための論文や要旨の執筆)に注力したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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