2012 Fiscal Year Research-status Report
電子調達による流通の企業間関係変化に関する日欧比較研究
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24730376
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hannan University |
Principal Investigator |
川端 庸子 阪南大学, 経営情報学部, 准教授 (60411683)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 流通業 / 情報化 / 電子調達 / 企業間関係 / ウォルマート / イオン / 国際研究者交流 / イギリス |
Research Abstract |
本研究は、流通業において取り入れられてきた情報化および電子調達のより一層の活用と発展を目指し、日本の流通業界団体と世界的な電子調達機関であるアジェントリクス社と関連業界や本学と研究代表者の海外研究受入先大学と連携した形で進める、流通業の企業間関係変化に関する日欧比較研究である。 平成24年度には、アジェントリクス・エーピー社、イオン社、イオンアイビス社、三徳社、シジシー社、西友への調査研究を行い、これまでの調査研究活動の課題と問題点を整理し、その対策や検討課題を整理した。それらの研究成果は、同文舘出版より『小売業の国際電子商品調達 -ウォルマート、アジェントリクス、シジシーの事例を中心に-』というタイトルで上梓した。 これまで、流通業において取り入れられてきた情報化および電子調達は、そのシステムの性格ゆえに、表からは見えづらいため、電子商品調達機関の名称が書かれたことはあるが、詳細に数値や事例を上げて説明している文献やその企業間関係を明らかにした研究は研究代表者の知る限り極端に少なかった。 この研究代表者による著書は、ウォルマート社、アジェントリクス社、シジシー社について詳細な数値や事例を一部明らかにしたという点において、理論的にも実務的にもある一定の貢献をしたと考える。しかしながら、平成24年度においては、検討課題を抽出したに過ぎず、未だ不明瞭な部分が多く、検討の余地が多くあるといえる。また、調達の多様化と安定化が日本より進展しているといわれている先駆事例としては欧州地域の企業をモデルとして例示された。 そこで本研究では、日本だけではなく欧州地域の先駆事例を集め、世界的な電子調達の動向と企業間関係の変化について明らかにしていき、日本と欧州を比較研究することにより日本の流通業において理論的かつ実務的なインプリケーションを導出することは、大変意義ある取組であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は、まずアジェントリクス・エーピー社とイオン社等への調査研究を通じて明らかになる、調査研究活動の課題と問題点を整理し、その対策についての検討課題を整理すること、そして、文献やアジェントリクス社主催の国際カンファレンスへの参加しインタビュー調査をしながら、同様な調査活動や、先行事例分析を行うこと、この2点について取組む予定であった。 平成24年度は、日本における文献収集に加え、アジェントリクス・エーピー社、イオン社、イオンアイビス社、三徳社、シジシー社、西友への調査研究を行った。それらの研究成果は、同文舘出版より『小売業の国際電子商品調達 -ウォルマート、アジェントリクス、シジシーの事例を中心に-』というタイトルで上梓した。そこでは、これまでの調査研究活動の課題と問題点を整理し、その対策についての検討課題を抽出し、今後の研究の方向性を示すことができた。 ただし、一部変更点は、アジェントリクス社主催の国際カンファレンスに参加し、先行事例を集める予定であったが、アジェントリクス・エーピー社へのヒアリングから、カンファレンス内容が平成23年度と同様のものが多く、先駆的事例発表があまりみられないと判明した。さらに校務スケジュールと重なったため、国際カンファレンスへの参加せずに、11月30日から12月2日に流通科学大学で行われたSARD(アジア流通研究会)に参加した。 SARDでは、英語での発表が行われ、イギリス、フィンランド、インド、タイ、マレーシアなどの幅広く世界の研究者達による先駆事例を集めることができた。また、アジェンとリクス社主催の国際カンファレンス内容については、後日同社にヒアリング調査を行い、フォローした。そのため、方法は異なったが、先行事例についての収集についても予定通り行うことができた。よって、研究の現在までの達成度は、概ね順調に推移していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、第一に平成24年度に整理した、調査研究活動における諸課題の対策について具体的に検討していくこと、第二に欧州地域を中心対象としたインタビュー調査を実施すること、この2点について取組んでいく。第一に、諸課題(平成24年度検討事項)への対策に関する具体的検討としては、平成24年度に整理した検討課題を実際に解決していくために、どのような対応策を講じることができるか、実現性を考慮した検討をしていく。 第二に、欧州地域を中心対象としたインタビュー調査の実施として、研究代表者は、所属機関である阪南大学において1年間の国外研究員となっており、イギリスのリーズ大学にて研究活動を行うため、海外の文献を収集・研究するとともに、リーズを中心として広く欧州地域にて集中的にインタビュー調査を行いたいと考えている(文献代、消耗品費、通信費、外国旅費の発生)。 具体的には、アジェントリクス社の中で先駆的事例として紹介された、リーズに本社があるウォルマート社の現地子会社であるアズダ社や、マークス・アンド・スペンサーなどへのインタビュー調査を予定している。ただし、研究計画当時予定していた、アジェントリクス社の国際カンファレンス参加は、平成24年度は開催されない予定に変更されたため、国際カンファレンスへの参加ではなく、国際学会への参加及び欧州でのインタビュー調査を行うことにしたい。 また、欧州の文献やインタビュー調査においては、より多くの国々や言語において正確な調査を遂行するために、一部翻訳や通訳を必要があると考えている(謝金の発生)。さらに、国外の研究者達と交流し、最新の研究状況について情報交換や積極的な意見交換をしたいと考えている。このように平成25年度は欧州地域の事例を収集することに注力し、次年度である平成26年度の研究最終年度に向けて、日欧比較研究ができるように研究を遂行していきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度は、第一に平成24年度に整理した、調査研究活動における諸課題の対策について具体的に検討していくこと、第二に欧州地域を中心対象としたインタビュー調査を実施すること、この2点について取組んでいく。 そのため、文献調査のための研究費が必要となる。具体的には、流通業に関する統計資料、流通業関連図書、情報化関連図書の購入費用および図書館内資料のコピー代、それに付随する事務用品費用(ファイル、筆記用具等)や資料をプリントアウトするための費用(プリンターおよびOA用紙等)、およびそれに伴う通信費が必要となる。とりわけ研究代表者は、イギリスのリーズ大学にて1年間研究活動を行う。そのため、上記図書の購入後には日本への荷物運搬費が必要となる。 また、海外の文献を収集・研究するとともに、イギリスのリーズを中心として広く欧州地域にて集中的にインタビュー調査を行いたいと考えている(消耗品費、通信費、外国旅費)。これら、欧州の文献やインタビュー調査においては、より多くの国々や言語において正確な調査を遂行するために、一部翻訳や通訳を必要があると考えている(人件費・謝金の発生)。さらに、国外の研究者達と交流し、最新の研究状況について情報交換や積極的な意見交換をしたいと考えている(海外旅費)。 具体的には、外国旅費250,000円(研究調査や成果発表1泊2日50,000円×5回=250,000円)、消耗品100,000円(図書1冊4,000円×20冊=80,000円、事務用品等20,000円)、人件費・謝金100,000円(調査協力者への謝金(約1,000円×2箇所×2日×4回=16,000円、通訳代1日約30,000円×2日=60,000円、翻訳代1文字約10円×3,400字=34,000円)、その他50,000円(コピー代5,000円、郵送代45,000円)以上のように予定している。
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