2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
24730380
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
篠田 朝也 北海道大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (50378428)
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Keywords | 会計学 / 管理会計 / 資本予算 / フィールドリサーチ |
Research Abstract |
本研究の目的は、日本企業へのフィールド・リサーチを通じて、日本企業における経済性評価の変容と独自性、および、資本予算プロセス全体の具体的特徴を明らかにしようとするものであった。 当年度は、洗練された投資評価方法の選択と、投資決定プロセスの統制局面における事後フォローが、企業業績に与える影響について検討した。特に、昨年度に実施したインタビュー調査と、それ以前に実施した質問票調査から得られた定量的データを利用して、実証的な分析を行った。検討した結果は、論文としてまとめて、日本管理会計学会の学会誌に公表した。 当該論文において、まず、洗練された投資評価方法の選択と企業業績との関連性について検証を行った。この点については、これまでの欧米の先行研究では一致した見解が見られていなかった。しかし、今回、わが国の企業のデータに基づいた分析によると、弱度の正の関連性がみられるということが示された。 さらに、洗練された投資評価方法を、統制局面における事後フォローと組み合わせて活用することによって、よりいっそう企業業績に正の影響を及ぼすことについても明らかにした。他方で、事後フォローの水準が極めて低い状況で、洗練された投資評価方法を利用することは、企業業績に負の影響を及ぼす可能性についても明らかにした。これらの結果は、事後フォローの実施水準に応じて、洗練された評価方法の利用が、企業業績にプラスにもマイナスに影響しうるということを示している。 当該研究成果は、資本予算プロセスの統制局面における事後フォローが、企業業績を向上させるために重要であるということを示したものであると解釈可能であり、企業の実務においても検討すべき示唆を与えているものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当年度は、特に投資決定プロセスの統制局面について、特に事後フォローが企業業績に与える影響について分析を行った。特に、昨年度に実施したインタビュー調査と、それ以前に実施した質問票調査から得られた定量的データを利用して、実証的な分析を行った。この分析内容を論文としてまとめて投稿し、査読を経たうえで、学会誌への掲載が受理された。これにより、本研究課題に直接関連する2本目の論文を公表することができた。 また、投資決定に正味現在価値法(NPV法)を導入している企業に対する調査は継続的に実施している。導入企業における複数年度にわたった状況の把握のため、今年度も引き続き調査を行うこととなる。関連する先行研究のレビュー等の予備的作業も進展させている。 以上の点から、当該研究課題は、おおむね順調に進展しているものと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降も、本年度と同様に、基本的にはNPV法の導入企業を中心に調査の継続を行うことに力点が置かれる。調査の進捗に応じて、調査から得られた内容を分析した結果を論文としてまとめて公表していく予定である。調査以外にも、先行研究のサーベイ等の作業も着実に進めていくこととする。 なお、フィールド・リサーチを通じて得られた課題をより詳細に検討し、日本企業の経済性評価および資本予算プロセスに関する現在の状況を把握をするために、質問票調査を実施する必要性がある。そのため、次年度には、状況に応じて質問票調査を実施する可能性がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額234,410円のうち、166,215円分は3月中に物品として納品されており、既に執行済みであるが、支払いが翌年度4月となっているものである。その他の残額68,195円は、当年度に予定していた調査出張ができなかったことにより生じたものである。 実施できなかった調査については、翌年度に実施する予定である。
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Research Products
(1 results)