2013 Fiscal Year Research-status Report
BSCが組織成員の戦略意識に及ぼす影響および戦略意識の特性に関する実証的研究
Project/Area Number |
24730391
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
渡邊 直人 早稲田大学, 商学学術院, 助教 (70434272)
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Keywords | バランスト・スコアカード / 多面的目標達成 / 職員満足度 / 心理構造 / トランザクティブ・メモリー・システム / アンケート調査 / 文献調査 |
Research Abstract |
研究目的:①多面的な業績の目標の達成に対する個人の心理構造、②戦略意識および業務に対する心理要因が職員満足度に及ぼす影響、ならびに③バランスト・スコアカードを含む管理会計システムが組織成員の知識もしくは情報の共有に及ぼす影響について分析を試みた。③の研究目的は、これまでの研究成果を拡張するために設定したものであり、バランスト・スコアカードによる個人の心理に対する影響だけでなく、そこから提供される知識や情報がいかにして組織成員に共有されるかを検討した。 研究方法:分析はアンケート調査やインタビュー調査に基づいた定量的・定性的分析とともに、文献調査に基づいたモデルの構築を行った。アンケート調査およびインタビュー調査は、敬愛会中頭病院・ちばなクリニックおよび福井県済生会病院(五十音順)の経営企画部または医事課などに属する担当者を対象として実施した。 研究成果:本調査によって得られたデータをこれまでの調査データと結びつけることで6年分の調査データが蓄積された。またこれを分析した結果、認知、行動意識、および成果(目標達成)の関係を解明したとともに、戦略意識(行動意識)と心理要因(認知)が職員満足度に及ぼす影響についても分析し、とくに患者意識や学習意識の戦略意識、また自律性や挑戦の心理要因が職員満足度に強く影響を及ぼすことが発見された。他方、管理会計システムが情報や知識の共有に対する影響を、トランザクティブ・メモリー・システムという概念を援用することでモデル化した。当該モデルは今後の定量的・定性的分析を進めることで実証的な観点から研究を発展していきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究期間の2年目となる当該年度は、おおむね当初の計画どおりに研究を遂行しているものの、モデルの拡張や新たなモデルの構築等を行った影響で、当初予定していた横断的調査については次年度に実施することとした。しかしながら、拡張モデルによる発見事項や新モデルの構築は、今後の研究の発展にもつながることから重要な意義のある研究であると位置づけられる。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には当初の研究計画・方法に従って研究調査を進めていく予定である。ただし、横断的調査にかかる分析モデルについては、当該年度における発見事項等を踏まえてモデルの再検討を行いたいと考えている。当初はこれまでの単一組織の経年的分析による結果が、横断的な調査結果からも跡づけられるかについて分析を行う予定であったが、当該モデルを拡張し、行動意識や心理要因と職員満足度の関係やバランスト・スコアカードによる情報・知識の共有の影響といった要因についても検討したいと考えている。横断的調査にかかるモデルの再構築は次年度途中までに行い、次年度末までに調査および分析を実施することを目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた横断的調査が、当該年度に実施したモデルの拡張および新モデルの構築によって再検討が必要となったため、当該調査にかかる費用を次年度に繰り越した。 次年度には当初予定していた経年的調査に加えて、横断的調査に要する費用が発生する。これは当該年度分の費用と合わせてより規模の大きい調査ができるように研究を進めていくことを目指している。
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Research Products
(4 results)