2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730392
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
上野 雄史 静岡県立大学, 経営情報学部, 講師 (40405147)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | リスク情報 / 資本規制 / 健全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本期間においては、過去の銀行や保険における資本規制を事例に、定量的なリスク情報が如何に機能していたかについて検証した。バーゼル規制やソルベンシー規制などの資本規制は、銀行や保険会社の行動に及ぼす影響があることが分かった。仮に、銀行や保険会社が基準値を少し上回るだけの資本しか持っていなかった場合、預金者や保険者に自社の健全性に対して疑問を呈される恐れがあり、かつ、仮に業績の悪化により自己資本が毀損した場合、自己資本比率が基準値を割り込む恐れもある。そのため、ある程度の余裕を持った自己資本を維持しておくことが必然的に求められる。各金融機関においては、定められた基準値を大きく上回る資本を積み立てていたことが明らかなった。 一方で、破綻した銀行・保険会社の直前期の自己資本比率およびソルベンシー・マージン比率を見ると、ほとんどの企業において破綻前の期の決算で比率を上回っていた。基準設定者は、資本規制の基準値は、絶対的な安全な指標ではないという、エクスキューズがされている。ではどういったものを組み合わせれば、健全性の指標となりうるのであろうか。残念ながら定量的な形では示されていない。確かに、絶対的なリスクの基準値がないというのは現実ではあるものの、一つの意思決定の判断の材料として、基準値が存在する以上、その基準値の確からしさを検証していくことは本来、求められるべきことであろう。
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