2013 Fiscal Year Annual Research Report
保険者機能の観点からみた時間ベースの病院原価計算の適用可能性
Project/Area Number |
24730394
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Research Institution | Shimonoseki City University |
Principal Investigator |
足立 俊輔 下関市立大学, 経済学部, 准教授 (30615117)
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Keywords | 会計学 / 管理会計 / 原価計算 / 医療経営 / 保険者機能 / TDABC / RVU法 / フランス会計 |
Research Abstract |
本研究は、米国の保険者機能の強化を背景とした病院原価計算の発展を、計算原理の精緻化の側面と計算合理性の側面から整理することで、医療の質とコストのバランスを考慮する価値重視の病院経営を支援する時間主導型の病院原価計算の有用性について明らかにすることを目的としたものである。本研究では、米国の病院経営および病院原価計算に関する文献調査を中心に、保険者機能が強化されるなかで提唱された価値重視の病院経営おいて、病院原価計算を用いて医療提供者と病院経営者に共通の情報基盤(common information platform)を構築する必要性があることを明らかにした。そして、そこでは時間主導型活動基準原価計算(TDABC)や相対価値尺度法(RVU法)といった時間主導型の病院原価計算を用いることの有用性を明らかにした。また、フランス管理会計における手法の一つであるUVA法も、「原価の括り」を見出すことで計算を簡便化させることを重視している点でTDABCやRVU法と共通点があることを明らかにした。 本研究の研究成果は、①単著「時間ベースの原価計算の適応可能性 ―病院原価計算の分析を中心に―」九州経済学会年報第50集投稿(査読付き)2012年12月、②単著『米国における病院原価計算の発展と価値重視の病院経営』博士論文(九州大学大学院)2012年2月で発表している。とりわけ、博士論文において、TDABCをマイケル・ポーターの価値連鎖(Value Chain)との繋がりから論文を執筆することができたことは、本研究における大きな成果といえよう。 また、最終年度に国立木浦大学校(韓国)にて本研究の成果報告を行い、意見交換を行った。結果、高齢化が進む韓国においても医療経営に対して関心が高く、それゆえ病院原価計算に対する関心が高いことが確認できた。
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