2014 Fiscal Year Research-status Report
津波被災地における地域社会の復興と被災者の生活再建のあり方をめぐる社会学的研究
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24730409
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
定池 祐季 東京大学, 大学院情報学環, 特任助教 (40587424)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 災害復興 / 生活再建 / 津波災害 / 災害伝承 / 災害文化 / 奥尻島 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、研究遂行上の課題が生じたため、研究計画を見直しし、奥尻島におけるライフヒストリーの収集と文献調査、奥尻島との比較のため他の被災地での調査を中心に行った。 ライフヒストリーの収集については、引き続き、奥尻島在住の女性を対象とした聞き取り調査を行った。そして、災害から21年を迎えた島内の追悼行事への参与観察から、前年度までとの差異を把握することができ、復興過程における追悼行事のあり方について知見を得た。また、他の被災地での調査からは、資料調査、聞き取り調査や意見交換を通して、国内の災害史における北海道南西沖地震の位置づけについて再整理をすることができた。 平成26年度の研究成果は、日本災害情報学会におけるポスター発表に加え、防災担当者向け研修や一般市民向けの講演、国内各地の被災地において、奥尻島の復興プロセスに関する情報提供という形で社会への発信を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
平成26年度は、平成25年度に実施予定であったアンケート調査を計画していたが、東日本大震災後の調査公害が収まらない状況を鑑み、実施を見送ったため、研究期間の延長に至った。また、ライフヒストリーの収集についても、インフォーマントとの調整の関係上、当初の見込みより少ない数の調査となった。 一方、他の被災地に関する資料収集と現地調査についてはおおむね順調に進み、北海道南西沖地震の復興の全体像について検討をする上での新たな知見を得た。加えて、その中で得られた成果について学会発表を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度はこれまで実施予定であったアンケート調査について、引き続き検討を加える。加えて、早期に調査実施の可否について結論を出し、他の調査方法の方がふさわしい場合には、その方法を採用することとする。 その上で、これまでの調査結果と新たな調査結果をもとに、奥尻島の復興プロセスの整理を行い、復興過程の概要を明らかにする。その結果を踏まえて、津波被災地における長期的な復興のあり方、被災地域社会の持続可能性について、総合的な考察を加え、理論的検討を進める。 なお、これらの調査研究の際には、研究協力者、学内外の研究者との意見交換を元に、必要に応じて手法等の検討と改善を試みながら、研究課題を遂行する。
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Causes of Carryover |
平成26年度に実施予定であったアンケート調査について、対象地域との調整から実施を見送った方が良いという判断に至ったため、補助事業期間の延長を申請した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に実施予定であったアンケート調査を行う予定であるが、早期に対象地域との調整の上、調査方法の検討を行う。もしアンケート調査を実施しない場合には、他の方法で調査を行うための調査費とする見込みである。
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