2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
24730413
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
朝岡 誠 立教大学, 社会情報教育研究センター, 学術調査員 (70583839)
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Keywords | コモンズ / 異質性 / 評判 / シミュレーション |
Research Abstract |
本研究では評判や異質性が①どのような制度を生むのか②どのようなネットワークを生み出すのかについて、フィールド研究とシミュレーション研究の側面から検討した。 計画当初は、質問紙調査を用いて評判の効果を検討する予定であったが、プリテストの段階で質問内容が抽象的で難解であるため適切な回答を得られなかった。そのため定量的アプローチから定性的アプローチによって評判の効果を検討し、それをシミュレーション研究にて検討することにした。 そこで、福島県只見町の集落にて地域住民の異質性によってコモンズの利用ルールに違いがある事例に着目し、集落の代表者などにインタビュー調査を実施し、集落内で流れている集団内の成員と部外者に関する評判情報とその集落で適用されているコモンズ利用ルール(特に部外者の利用)の関係を明らかにした。 インタビュー調査の結果①成員の異質性が大きい集落では集落の成員内に部外者の悪評が流通しやすく、この悪評が部外者のコモンズ利用に対して厳格なルール定着に影響していること。そして成員の異質性が小さい集落では集落の成員内に部外者の悪評だけでなく良評も流通し、この良評が部外者のコモンズ利用に対して柔軟なルール定着に影響していること②リーダー的な役割を担う人が少なく、専制的集落やリーダー的な役割を多くの人に分配している集落はまとまりが悪く、程よくリーダー的な役割を担う人がおり、大きな派閥がある集落の方がまとまりがよいことが分かった。 そして、これらの結果を理論化するため、それぞれの結果を抽象的なモデルにし、シミュレーションを行った。その結果、①異質性の大きい集落では、コモンズの財に対する価値観が大きく異なり、コモンズの財の価値を高く見積もる人々が大きく影響すること②成員にとって効率的なネットワークを形成するにはその集団の異質性と人数に見合った数のリーダーが必要であることが明らかになった。
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