2014 Fiscal Year Annual Research Report
高校生と母親の意識からみた教育機会の社会経済的格差生成メカニズムの解明
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24730417
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤原 翔 東京大学, 社会科学研究所, 准教授 (60609676)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 教育機会 / 教育の拡大 / 高校選択 / 進路希望 / 高校生 |
Outline of Annual Research Achievements |
2002年の2012年の間に,大学進学率は約10ポイント上昇した.本研究はこの間に高校生の進路希望に対する社会経済的背景の影響がどのように変化したのかを明らかにした.その結果,次のことが明らかになった. ①進学した高校の選抜性に対しても,高校卒業後の進路希望に対しても,親学歴,世帯収入,中学3年時成績は影響を与えていた.②高校卒業後の進路希望に対して高校タイプは影響を与えていた.③以上の影響力は2002年と2012年の間にほとんど変化していないことが明らかになった. ④2002年にはみられた高校卒業後の進路希望に対する高校2年時の成績の影響は,2012年にみられなくなるという変化もみられた.⑤社会経済的背景の影響について,学力を媒介とした第1次効果と第2次効果にわけてその重要度を分析したところ,進学した高校の選抜性については,第2次効果のほうが第1次効果よりもやや大きいことが明らかになった.⑥高校卒業後の進路希望については,総合的にみれば第1次効果と第2次効果の重要性はほぼ同程度であることが示された. 以上の結果から,進学した高校の選抜性に対しても,高校卒業後の進路希望に対しても,社会経済的背景は学力を媒介として影響を与えつつ,直接的な影響も与えていることが示された.またこの格差構造は10年の間に変化していないことが明らかになった.
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