2013 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化にともなうアジア系女性の人種認識・表象の再編成
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24730420
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高谷 幸 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (40534433)
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Keywords | アジア系女性 / 人種認識 / 人種表象 |
Research Abstract |
本研究は、グローバル化にともなう消費社会が展開されているアジアにおいて、アジア系女性をめぐる人種認識・表象がどのように再編成されているのかを考察する。具体的には、人びとの日常生活、とりわけ消費局面における人種認識のプロセスを考察することによって、グローバリゼーションにともなうアジア系女性内部での差異化・序列化の論理と過程を明らかにすることを目指している。 二年目である本年度は、初年度の探索的な調査研究を踏まえ、研究目的を達成するために対象の具体化および調査項目について見直しを行った上で実施した。第一に、日本におけるアジア系女性の人種認識を見るためには、アジア系という一般化された形式ではなく、エスニシティ/民族ごとに認識されている実態があることから、日本での研究対象としていた者のうち日本人を韓国ポピュラーカルチャー消費者に限定した。韓国ポピュラーカルチャーはアジア系カルチャーのなかでも最も消費の広がりを見せており、また日韓関係という政治的緊張関係が、文化消費や人種認識の差異化や序列に与える影響をみるのに適しているからである。この観点から日本人および在日韓国人女性の消費者32名に聞き取り調査を行った。第二に、在日フィリピン女性についての認識・表象については、消費文化にくわえ、対面的な関係においてはより直接的な影響を与えていると思われるエスニック・グループの活動も考察の対象を広げて調査を行った。これらを通じて、前者についてはグローバル化のなかでも国家間関係やナショナリズムが人種認識のプロセスに影響を与えていることが明らかになった。後者については消費文化のなかで表象の変化の兆しがみられると同時に、地域社会のなかでの対面的な社会関係を通じてフィリピン女性の認識や表象が変わる可能性が明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度の調査研究を踏まえて研究計画の見直しを行ったこと、また聞き取りについて調査対象者を集めるに時間を要したことで、初年度の遅れを挽回できなかった。ただし国内調査については、聞き取り調査として十分な人数を確保でき、また参与観察も実施できた点でほぼ完了した。一方で、シンガポールでの調査を実施できず、また成果の発表を行えなかった点で計画より遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
研究発表が遅れているためその部分に重点をおいてすすめる。またシンガポールでの調査を完了させる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度は韓国ポピュラーカルチャー消費者および在日フィリピン女性についての調査に専念した結果、シンガポールでの調査を延期することになった。また学会発表を行わなかったため、その経費を要しなかった。 延期していたシンガポール調査を実施する予定である。また今年度は複数の学会発表を行う予定である。
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