2014 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化にともなうアジア系女性の人種認識・表象の再編成
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24730420
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
高谷 幸 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (40534433)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アジア系女性 / 人種認識 / 人種表象 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グローバル化にともなう消費社会の展開が目覚ましいアジアにおいて、アジア系女性をめぐる人種認識・表象がどのように再編成されているのかを考察するものである。具体的には、人びとの日常生活、とりわけ消費局面における人種認識のプロセスを考察することによって、グローバリゼーションにともなうアジア系女性内部での差異化および序列化の論理と過程を明らかにすることを目指している。 本年度は、前年度に引き続き調査を継続するとともに研究成果の発表を行った。前者については、シンガポールにて現地におけるアジア系女性の人種表象について調査を行った。具体的には、現地ファッション誌に掲載されている日系化粧品広告に着目し、アジア系女性がどのように表象されているか、またその変化を年代的に考察するためのデータを得た。そこでは、2000年代に入るころからアジア系女性と「美白」を関係づけた商品戦略が開始されていること、そのなかで生物学的な差異にもとづくアジア系女性についてのイメージや言説が創り出されていることが明らかになった。 後者の研究成果の発表については、二年目に行った在日フィリピン人調査の部分を中心に、国際学会で二度の発表を行なうと同時に、これまでの研究成果の一部を含む英語論文を執筆した。 また上記シンガポールでの現地調査のさいに、世代によってアジア内の国家・社会・文化にたいする親近感が異なるという新たな知見を得た。この知見をより深めるために、計画を一年延長し、補充調査を実施することにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は、前年度に実施できなかったシンガポール調査を行うことができた。また国内調査の在日フィリピン人を対象にした部分では、学会発表を行った。 一方で、シンガポール調査では新たな知見を深めるための補充調査が必要となり、研究計画を一年延長することとした。また調査成果の論文執筆が遅れていることもあり、達成度はやや遅れていると言わざるを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
シンガポールにおける補充調査を実施すると同時に、研究成果を論文として発表する予定である。
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Causes of Carryover |
平成26年度に、シンガポール現地調査を実施した。その際に、世代によってアジア内の国家にたいする親近感が異なるという新たな知見を得、研究計画にけるインタビュー対象者を変更したため、未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記知見をより深めるため、より若い世代に対象を絞った補充のインタビュー調査を実施することとし、未使用額はその経費に充てることにしたい。
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