2013 Fiscal Year Research-status Report
フランスの「エスニック化」と旧植民地出身女性移住者の社会編入―日常性の抵抗戦術
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24730421
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
園部 裕子 香川大学, 経済学部, 准教授 (20452667)
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Keywords | 移民 / 移民女性 / ジェンダー / 集合行動 / アフリカ / 社会開発 |
Research Abstract |
前年度から調査を行ってきたパリ市内の女性移住者団体の活動について、引き続き聞き取り調査を継続した。その際、とくに、移住女性が出身国において現地の女性市民団体と連携して行う活動に焦点を当てた。 具体的には、パリ市内の複数の女性移住者団体が参加するネットワークの関係者に聞き取りを行い、このネットワークが送出国の女性移住者団体と協力してどのような活動を行い、そこで果たす役割を分析した。聞き取りから、今年度は当該ネットワークが、4月の世界マラリア・デーに合わせて、セネガルの女性市民団体が企画したキャンペーン活動に協力するため、現地に赴くことが分かった。そこで許可を得てこのキャンペーン活動に同行して参与観察を行うとともに、関係者への聞き取りを行った。 セネガル側の女性団体は、より大きな国際NGOの関係者である女性が新たに立ち上げた市民団体である。この女性団体の目的は、セネガルの首都ダカールおよび農村において、ローカルなレベルで対面的な取り組みを行うことから、貧困世帯の女性を支援することである。このローカル市民団体に対し、パリの移住女性ネットワークは、①キャンペーン運営と資金集めのノウハウの提供し、②フランスで研修生を募集し、移民第二世代の若者が親の出身社会で活動する機会としている。 このような送出国・受入国の国境を越えた活動により、移住女性が行為者として主体形成するため、送出国と定住先の間でみずからの役割をどのように位置づけているかを分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
毎年、現地調査を行って参与観察を続け、聞き取りを蓄積してきている。とくに今年度は、フランスだけではなく、移民女性の出身地のひとつ、セネガルにおいて、現地の女性による市民団体との連携行動についてデータを得ることができた。これまでに蓄積してきた聞き取りが、研究の発展に結びついてきていると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのフランスを中心とする調査を継続するとともに、今年度、セネガルとの国境を超えた活動を把握することができたので、引き続き、送出国側の調査を行う必要がある。フランス旧植民地の女性による活動について、包括的なデータを得るため、今年度は、マリ共和国における女性市民団体に焦点をあてることが効果的だと考えられる。これにより、国境を越えた移住女性と途上国女性のネットワーク、主体形成に、さらに焦点を絞って分析することができるはずである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度において、文献調査に集中するため、および別の予算による渡航調査を実施できたため、繰り越しを行っていた。当該年度は予定どおり調査を実施したが、繰り越し分をすべて使用するには及ばなかったため、次年度に使用することにした。 現地調査を集中的に行うことを計画している。フランスおよびマリ共和国において現地調査を行う。また、フランスで研究交流を行う予定である研究者グループが、スイスでシンポジウムを開催するため、参加する予定である。
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